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経済成長鈍化と覇権主義の弊害……元外交官が指摘する、これからの中国が抱える2つのリスク

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経済成長鈍化と覇権主義の弊害……元外交官が指摘する、これからの中国が抱える2つのリスクの画像1※画像:『日本外交の挑戦』(田中均/著、角川書店/刊)

 大爆発事故が発生した中国の天津、その悲惨な姿は連日ニュースで伝えられていますが、事故の原因や責任の所在などは不明瞭なまま。事故による日系企業への影響も大きく、中国株式市場の混乱もあいまって中国の動向から目を離せない状況です。

 いまや、中国という国は世界においてアメリカに並ぶ大国であり、最も影響力が強い国であるといえます。そのような大国の近くに位置し、経済面や軍事面で大きく関わらざるを得ない国が、日本です。果たして今後、日本は中国とどのような外交を行っていくのでしょうか?

 『日本外交の挑戦』(田中均/著、角川書店/刊)では、外交官を30年以上務めた著者の田中氏による緻密な分析に基づいた、これからの日本外交が取り組む問題に対しての戦略が書かれています。ここでは、日本の外交問題の中でも大きなものである、中国問題について取り上げます。田中氏は、2つのリスクを抱える未来を描いています。

■経済成長鈍化が国内混乱を招く

 中国が国際的に見て経済的な影響力を強く有している大国であるということは前述の通りですが、中国経済は中国国内にも大きな影響を及ぼしています。これまで、中国は大きな成長を遂げてきており、成長率も10%を超えていました。

 しかし、ここにきて成長が鈍化。今後は成長率が6%前後に推移するだろうと予測されているほか、一人っ子政策を進めてきた中国は近く少子高齢化社会を迎え、労働生産年齢人口の減少にも直面するでしょう。さらに中国国内での深刻な問題として、都市部と農村部との経済格差も広がっていて、今後の中国経済は難しい局面を迎えることになります。
 こうした背景の中で、国内の経済成長が停滞することにより、拡大した中産階級の不満が溢れ、ネットの普及も伴って政府共産党への反発が大きくなることは容易に予想できるはず。これはすなわち、国内の不満をそらすために強硬的な外交政策を政府が採用することが予想され、日本は強硬姿勢を取る中国に対応しなければならないというリスクを抱えていると著者は指摘します。

■覇権を求めて対外的摩擦が生じる

 もう1つのシナリオは、中国が東アジア地域で覇権を求めて、他国と衝突が起こるというものです。

 ここまで中国は、オリンピックや万博、APEC首脳会議などを開催して国際行事を成功させてきました。また、周辺国とのインフラ整備を行ったり、AIIB構想を推し進めるなど国際協力の面を強めていると言えます。

 しかし、他方では中国は攻撃で一方的な行動も見せていると著者はいいます。中国の民主活動家である劉暁波(リウ・シャオボー)氏にノーベル平和賞が授与されたとき、報復措置としてサーモンなど一部ノルウェー製品の輸入を実質的に禁止するということがありました。また、尖閣や南シナ海における攻撃的活動については私たちもよくニュースで見かけます。中長期的な観点から見れば、中国がアメリカと同等の軍事力や経済力を持ったとき、アジアで覇権を握る強硬的な行動を強めていく可能性は非常に高いといえるでしょう。

 本書は中国以外にも北朝鮮や沖縄基地問題についても切り込んでおり、いかに日本が他国によるリスクに囲まれた国であるかが分かる一冊となっています。

 ニュースを聞くだけでは分からない今後の日本の外交問題ですが、本書は日本の現状と未来を明確に伝えており、これからの日本を考えるための示唆を与えてくれるはずです。
(新刊JP編集部)

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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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