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町田徹「見たくない日本的現実」

財務省の姑息な横暴 国民にメリットなく煩雑極まりない仕組み強要 疑念まみれの軽減税率

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財務省(「Wikipedia」より/っ)
 先週木曜日(9月10日)に、自民、公明両党が開いた与党税制協議会で、2017年4月の消費税率の10%への引き上げに伴う痛税感の緩和措置とされてきた、軽減税率の実施原案が明らかになった。連立与党の意を受けて財務省が作成したもので、「酒類を除く飲食料品」の購入代金の2%分を事後的に払い戻す還付制度が柱となっている。

 しかし、原案には所得制限を付けて還付を低所得者に限るとか、還付額に4000円程度という上限を設けるといった腹案が付いているらしい。これらが実施されれば、どう考えても納税者の痛税感の解消には役立ちそうにない。負担軽減策としては、力不足なのである。

 さらに首を傾げざるを得ないのは、実施の延期まで囁かれている「社会保障・税番号」(マイナンバー)制度の個人番号カードを取得し、それを常時携帯して買い物のたびにポイントを貯め、事後的な還付申請をしなければならないという、煩雑極まりない仕組みが唐突に組み込まれたことだ。

 われわれ国民にはほとんどメリットがない軽減税率の導入で、いったい誰がトクをするというのだろうか。連立与党と財務省のやりたい放題を放置すれば、これまで沈黙を守ってきた首相官邸の指導力も問われかねない事態である。

貧乏くさい軽減税率導入案


 消費税の軽減税率とは、標準の税率とは別に低い税率、つまり軽減税率を設けて、消費税の税率を2本立て、3本立てにすることをいう。世界的に見て、軽減税率の導入が進んでいるのは欧州地域だ。早くから日本の消費税に相当する付加価値税が普及しており、その標準税率がすでに20%前後と高率になっているからだ。

 例えば、英国やフランスは標準税率が20%。その一方、英国が食料品や新聞・雑誌に0%の軽減税率を、フランスが食品に5.5%、新聞・雑誌に2.1%の軽減税率を設けている。欧州の場合は、必ずしも生活必需品だけが軽減税率の対象ではない。自国産の農産品などを保護するため、自国製品だけを対象にした軽減税率を設ける例もある。

 一方、日本では財務省が長年軽減税率の導入を拒み、御用学者たちを取り込んで議論を封じてきた。彼らは「税収が減る」とか「税制が複雑になって納税コストが上がる」「脱税しやすくなる」といった、もっともらしい理由を並べ立てていた。

 風向きが変わったのは、安倍政権が昨年4月の税率を5%から8%に引き上げる消費増税を容認した頃のこと。首相官邸に8%から10%への2段階目の消費増税をのませるには、増税ショックを和らげる施策も必要とみて、財務省がひそかにスタンスを変え始めたのだ。サインを送られた自民、公明両党が昨年暮れの総選挙の際に、消費税率の10%への引き上げと同時に軽減税率を導入する方針を公約に掲げた経緯がある。