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清水和夫「21世紀の自動車大航海」(11月9日)

だからポルシェは「宇宙一」なのである

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ポルシェ911 カレラ4「ポルシェ HP」より
 ポルシェ911はどこに行くのだろう。

 今年の東京モーターショーでも、世界初公開となる「カレラ4」を中心に、“ビッグ”マイナーチェンジした911が大きな注目を集めていた。この新型911には、新開発のターボエンジンが搭載される。

 これで、自然吸気のボクサーエンジンは、「GT3」と「GTS」を除いてターボ化されることになった。排気量は3リッターになったが、ポルシェはこれを、ダウンサイジングではなく「ライトサイジング」と説明している。

 さらに、シャシー性能も進化した。リアアクスルには「918」や「ターボ」で実用化した4輪アクティブステア(4WS)を採用、オプションでアクティブスタビライザーも選択可能となった。

 最近のポルシェは、ハイテクに熱心である。昔のポルシェに愛情を感じる人にとっては受け入れがたいかもしれないが、あくまでドライバー中心のハイテクにこだわっている点が、他メーカーと大きく異なるところだ。今回は、911の歴史をひもときながら、その将来を予測してみたい。

 911はポルシェを代表するモデルだけに、エピソードには事欠かない。そもそものルーツは、フォルクスワーゲンの「ビートル」だ。ビートルを設計したフェルディナント・ポルシェの息子であるフェルディナント・アントン・エルンスト・ポルシェ(フェリー・ポルシェ)は戦後、911の先祖である「356」というスポーツカーを開発する。

 911はリアエンジン・リアドライブ(RR)という独特なレイアウトを持つが、リアに搭載するには、全高が低い水平対向エンジンは都合がいい。ポルシェは、ビートルの4気筒から6気筒にパワーアップして、RR方式のスポーツカーである911という名車を生み出した。

 そのコンセプトは、大人が4人乗れて走れるスポーツカーだ。つまり、リアルスポーツカーというより、GTカー(グランドツーリングカー)のコンセプトに近かったわけだ。

ポルシェ911の都市伝説とは


 比類ないスポーツカーの誕生と同時に、さまざまな都市伝説も生まれた。その最たるものは、リアエンジンゆえに安定性が悪いというものだ。

 エンジン性能の進化によって、アウトバーンの高速安定性は高まったが、911の高速安定性は確かにあまりよくなく、初期モデルの「ナローポルシェ」は、フロントバンパーの中に鉛を貼ってフロントを重くしたことがある。「RRはリアヘビーだから安定性が悪い」という都市伝説は、ここから生まれたのだ。

 この都市伝説は、ある意味で正しい。しかし、厳密には静的な重量配分ではなく、動的な重量配分で考えるべきで、そのためにはエンジンやギアボックスの配置を考える必要がある。