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中村芳平「よくわかる外食戦争」

アフリカまで…丸亀製麺、首都圏&海外で異次元の大量出店攻勢 急速にグローバル企業化へ

文=中村芳平/外食ジャーナリスト
アフリカまで…丸亀製麺、首都圏&海外で異次元の大量出店攻勢 急速にグローバル企業化への画像1丸亀製麺 HP」より

 昨年末の12月8日、テレビ番組『みんなのニュース』(フジテレビ系)のコーナー『ふかぼり』にコメンテーターとして16分ほど生出演した。企画タイトルは『都心に出店ラッシュ うどん店が受けるワケ』であった。前日の夜、番組のスタッフ2人と東京・JR錦糸町駅近くのセルフコーヒー店で打ち合わせた時、筆者が「都心にうどん店が出店するのも垣根なき胃袋戦争が激化しているからだ」と解説すると、本番前のリハーサル時にはタイトルが『垣根なき胃袋戦争』に変わっていた。その結果、都心におけるうどん店の出店ラッシュについては軽く触れる程度で、牛丼チェーン、ハンバーガーチェーン、コンビニエンスストアなどとの「垣根なき胃袋戦争」について解説した。

 伊藤利尋キャスターが「はなまるうどんが2年で130店、丸亀製麺が20年までに300店」も出店するとの説明を聞いて、筆者はうどんチェーン2強の都心出店戦争の激化を知った。

「手づくり」「できたて」を売りにする讃岐うどん専門店「丸亀製麺」を展開するトリドール(神戸市/粟田貴也社長)は、郊外型やスーパーなど商業施設内への出店で発展してきたがここにきて飽和感が出てきて、都心への出店に力を入れ始めた。11年8月にテイクアウト併設の新型店舖「丸亀製麺新宿文化クイントビル店」を開店、オフィス街におけるランチ需要取り込みの実験店舗としてきた。今後、丸亀製麺の都心部への出店ではテイクアウト併設店が増える可能性がある。

世界展開

 トリドールは15年9月、東京・品川区大崎に本社の一部を移し、16年4月にはハワイで新入社員の入社式を行う。ハワイは丸亀製麺の海外初出店で大成功した地で、世界展開の起爆剤になった。

「トリドールがハワイ・ホノルル市の観光スポットに海外1号店の丸亀製麺ワイキキ店(68席)を開店したのは11年4月のこと。折からの日本食ブームに乗って同店は大ヒット、行列のできる大繁盛店となりました。観光リゾート地、ワイキキのランチ価格は平均約15ドルと非常に高い。だが、丸亀製麺はかけうどんが4ドル前後と安く、人気に火が点いた。現在同店の人気メニュー1位は肉うどん、2位がカレーうどん。世界からハワイに観光に来る人たちは、かき揚げなどのトッピングを3~4個も載せて、いなりずしなどを食べるのが一般的で、客単価は日本の店の2~3倍になるのが常です。その結果、ワイキキ店は開業以来、丸亀製麺の店舗別売上げランキングでトップとなり、現在も世界に約1000店展開する丸亀製麺の中で断トツの売り上げを記録しています」(業界紙記者)

中村芳平/外食ジャーナリスト

中村芳平/外食ジャーナリスト

●略歴:櫻田厚(さくらだ・あつし)

1951年、東京都大田区生まれ。高校2年生の時に父が急逝し大学進学を断念、アルバイトして家計を助ける。都立羽田高校卒業、広告代理店勤務。72年に14歳年上の叔父(モスフードサービス創業者・櫻田慧)に誘われ「モスバーガー」の創業に参画。フランチャィズ(FC)オーナーなどを経て、77年に同社入社。直営店勤務を経て教育・店舗開発、営業などを経験。90年、初代海外事業部長に就任、台湾の合弁事業の創業副社長として足掛け5年半でモスバーガーを13店舗展開。1985年の株式上場と244店舗展開(16年9月末)、そして同社の海外展開の基礎をつくった。慧氏は97年にくも膜下出血で急逝、享年60。櫻田氏は98年社長に就任、14年会長兼社長に就任し、今年6月、社長を常務取締役執行役員の中村栄輔氏(58)に譲った。社長交代は18年ぶりのことだ。櫻田氏は中村氏に国内事業、新規事業を任せ、海外事業に全力を注ぐ構えだ。「モスバーガー」を世界のブランドにするという、夢の実現に向かって挑戦しようとしている。

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