トリドールはワイキキ店の大成功をバネにタイ、ロシア、中国・上海、オーストラリア、韓国、香港、台湾などに出店し、丸亀製麺の世界戦略を推進した。この延長線上で15年5月、M&A(合併・買収)戦略で米国ロサンゼルスのファストカジュアル・レストラン「Kaya Street Kitchen」を傘下に収めた。これによって北南米・欧州を視野に入れたグローバルブランドの開発・育成に踏み出した。
15年6月には、欧州を中心に17カ国で67店展開するアジアン・ファストフード「WOK TO WALK」の運営会社の60%の株式を取得した。同社は04年にオランダのアムステルダムで誕生、タイの屋台料理をコンセプトにしながら、欧米のトレンドをアレンジし、フライドヌードルなどをイートインとテイクアウトで提供している。
トリドールはこの2つのM&Aをテコに15年7月、「25年度に世界6000店、売上高5000億円、外食企業世界ランキングのトップ10入りを目指す」という長期経営計画を発表した。丸亀製麺を中心とする国内既存事業で1300店1300億円とし、クローバー珈琲焙煎所など国内新事業で700店舗800億円とする。そしてWOK TO WALKなどに加え、M&A戦略を使って海外事業で4000店2900億円を目指すという。
ちなみにトリドールの15年3月期は売上高が約873億円、店舗数は950。海外では50店舗(うちFCなど30店)を出店の一方で9店を閉店し、合計102店(同69店)を展開している。海外売上高は約60億円、出店費用がかさみ営業損失は7億3000万円。
長期経営計画
同社が推進する長期経営計画では、日本と世界の売上高は逆転し「世界のトリドール」へ脱皮する。国内外食市場は少子高齢化、人口減少で縮小してゆくが、同社は20年の東京オリンピック開催に向けて、これまで手薄だった都心部・首都圏へ300店舗出店する方針を打ち出したのだ。
国内の丸亀製麺の成長が鈍化するなかで、ここ1~2年国内外での出店を加速する。国内では丸亀製麺の業態転換候補として手づくり感、シズル感を生かした郊外型カフェのクローバー珈琲焙煎所を、関東圏には創業業態のファミリーダイニングの焼鳥店「とりどーる」を投入する。丸亀製麺はアジア・ハワイを中心に展開する方針だ。
ちなみに16年3月期第2四半期決算では、国内で前期比107店舗(うちFCなど100店舗)増やし、計1057店舗とした。また海外事業でも110店舗(同100店舗)出店、営業店舗数を計204店舗(同169店舗)とした。