1月12日、KDDIはauの春商戦に向けた新製品・サービス発表会を実施した。料金よりも通信容量に重点を置いた学生向け割引施策や、ミドルクラスの「Qua」シリーズに重点を置いた端末戦略から、同社の狙いを考えてみよう。
割引よりもデータ増量を重視した“学割”
NTTドコモやソフトバンクが冬商戦を重視した新製品・サービスの発表会を実施するなか、冬商戦での発表を見送る方針を示していたKDDI。そのKDDIが、携帯電話商戦が最も盛り上がる春商戦に向け、1月12日にauの新製品・サービス発表会を実施した。
今回の発表会におけるauの主な取り組みは2つある。1つは、新入学シーズンを控え学生の需要を獲得するための割引サービス「学割」、そしてもう1つは新端末の発表である。これらの施策は従来キャリアが春商戦向け戦略として打ち出してきた一般的なものだが、auはそのいずれにおいても、従来と異なる内容の施策を打ち出したことが、注目されている。
まず学割に関してだが、従来の学割は、学生を含めた25歳以下の若年層の需要を獲得するべく、一定期間基本料を割引くというものが主流あった。しかしながらKDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、発表会において「今の学生はお金がないのではなく、データ(通信容量)が欲しい」と話し、料金の割引よりもデータ通信容量を大幅に増やす施策を打ち出したのである。
具体的には、25歳以下の若い世代に対し、新規契約や番号ポータビリティによる乗り換え、さらに機種変更で新しい機種を購入し、「カケホとデジラ」のデータ定額オプションで「データ定額 5」以上を契約したユーザーに対し、25歳までデータ通信容量を毎月最大5GB分プレゼントするというもの。つまり25歳以下であれば、26歳になるまで毎月10GB分以上のデータ通信容量が利用できるようになるのである。
もちろんauの学割では、このほかにも特定の条件を満たすことで1年間、データ定額オプションが毎月1000円割引されるなどの優遇施策も提供している。しかしながら料金の割引は1~3年間(条件による)しか適用されないのに対し、データ通信容量の追加は25歳を超えるまで適用され続けることから、いかにデータ通信容量に比重を置いているかがわかる。
ちなみに今年の学割に関しては、先に施策を打ち出したソフトバンクも、追従したNTTドコモも、容量など細かな部分に違いはあれど、やはり料金よりデータ通信容量の増量に重点を置いている。auの打ち出した施策が、今年の学割のトレンドに沿ったものであることが理解できるだろう。