携帯電話会社(キャリア)に対し、昨年末のタスクフォースの議論による料金引き下げ要請に加え、いわゆる“2年縛り”の緩和も要請している総務省。それに応える施策を各キャリアは次々と打ち出しているが、その内容からは各社が何を狙っているかが見えてくる。
総務省要請で2年縛りの見直しが進む
昨年末に総務省のICTサービス安心・安全研究会が実施した「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」によって、料金の引き下げに関する議論がなされた。その結果として、端末を“実質0円”で販売するなどの過剰な割引が事実上困難になるなど、携帯電話市場には非常に大きな影響が出ているようだ。
だが、総務省がキャリアに対し要請していたのはそれだけではない。先のタスクフォースとは別に、ICTサービス安心・安全研究会では2年縛りの問題に関する議論も進められており、昨年7月には改善要請も出ているのだ。
改めて2年縛りについて確認しておくと、これは2年間の契約を前提として、通信料などを大幅に割引く仕組み。一方で、2年未満で解除すると高額な解除料を支払う必要があること、そして2年経過後に“縛り”の影響を受けることなく解除できる期間が1カ月と短いことなどが、ユーザーの不満を高めていた。なかでも総務省側が問題視していたのは後者であり、2年経過後も解約しづらく、長期的にユーザーが縛られることで競争が進まなくなるというのが、その大きな理由だ。
この問題に関して、最初に動いたのはNTTドコモだ。同社は1月29日に、2年経過後に無料で解除できる期間を1カ月から2カ月に延長すると発表。これにほかのキャリアが追随したことで、現在は2年経過後の解除期間が2カ月に伸び、従来よりも解約しやすくなった。
だがそれでもなお、無料解除期間が経過した後には再び縛りが発生するため、その後も解約がしづらいことに変わりはない。そこで次に動きを見せたのが、ソフトバンクである。
あくまで現状を維持したいソフトバンクとau
ソフトバンクが3月16日に、新たな2年縛りの緩和策として発表したのが、6月に提供を開始する予定の「2年契約プラン」である。これは、従来の「スマ放題」「スマ放題ライト」の基本料に月額300円をプラスすることで、契約から2年経過後の解除料がかからなくなるというもの。「スマ放題」であれば、2700円に300円をプラスすることで、月額3000円となる。