KDDI(au)もこれに追随するかたちで、やはり月額300円をプラスすることで、2年経過後の解除料がかからない「新2年契約」を6月より提供開始すると発表している。これらの施策は、一見シンプルでお得なようにみえるが、従来の料金プランと比べ本当にお得かというと、実はそうではないことが明らかになってきている。
というのも、「2年契約プラン」や「新2年契約」は、共に毎月300円多く支払うため、2年未満で解除した場合は当然従来のプランより高額になる。ではいつお得になるのかというと、27カ月目から31カ月目までの5カ月間だけであり、お得になる額も最大で1400円程度にすぎない。しかもそれ以降は、毎月300円がプラスされることから再び従来のプランの料金を上回り、損になってしまうのだ。
また、こうした現実を知っていたとしても、27~31カ月で解約することを前提に契約するユーザーがどれくらいいるかというと、決して多くはないだろう。それだけにこれらの料金施策は、サービス開始前からユーザーに批判される結果となっている。
だがそうした批判があってもなお、ソフトバンク、au共に料金プランを変えようという動きはみせていない。その理由は、「2年契約プラン」や「新2年契約」が、もともと総務省の要請に応えるために設けた実効性の低いものであり、ユーザーに契約してもらわなくても大きな影響が出るわけではないととらえているからではないだろうか。両キャリアは共に現状のビジネスを維持したいと考えており、ユーザーには従来の料金プランを契約してほしいというのが本心であろう。
NTTドコモの施策は今後の競争停滞を見据えたものに
一方で、4月14日に打ち出したドコモの2年縛り緩和施策は、先行する2キャリアとは大きく異なる内容であった。同社が打ち出したのは、従来の料金プランの仕組みはそのまま維持しつつ、2年経過後に「ずっとドコモ割コース」と「フリーコース」のいずれか一方を選べるという施策である。
前者は従来同様2年縛りは継続されるものの、その分長期割引の「ずっとドコモ割」が適用されるほか、2年契約更新のたびに、携帯電話料金以外に利用できるdポイント「更新ありがとうポイント」がプレゼントされるなど、従来の仕組みに近いものだ。
一方の「フリーコース」は、そうした特典がない代わりに、縛りがなくいつでも解約できるというもの。基本料自体は変わらないので、「カケホーダイ」であれば月額2700円のままで利用できるし、途中でずっとドコモ割コースに変更することも可能だ。