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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

熊本地震、ネットですぐできる復興支援!Tポイントで寄付、ふるさと納税で地方産業を保護

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
熊本地震、ネットですぐできる復興支援!Tポイントで寄付、ふるさと納税で地方産業を保護の画像1熊本地震で被害を受けた、熊本県上益城郡益城町の様子

ふるさと納税」が、これまでにない視点で注目を集めている。

 節税効果に加え、豪華な返礼品がもらえると人気の制度だが、本来は自治体への「寄付」。人口が少なく納税額が低い地方へ、大都市圏の納税者が「ふるさと納税=寄付」をすることで、税収を地方に振り向けることができる。

 寄付した額から2000円の自己負担額を除いた金額が税控除されるため、納税額の多い高収入者ほど、この制度を使うメリットが大きい。そのため、地方は豪華な返礼品合戦を繰り広げ、税収を奪い合うような構図になっていた。

「寄付」という本来の目的より、「特産品をもらえる制度」という側面ばかりが強調され、メディアでもそのように取り上げられることが多かったと思う。

 しかし、4月に発生した熊本地震で、その様相は変わった。本来の趣旨である「ふるさと納税で、被災した自治体に寄付をしよう」という流れが生まれたからだ。

 通常の寄付金や義援金も、もちろん私たちができる支援の方法だが、ふるさと納税によって被災自治体に寄付が集まれば、復興の大きな助けになる。当初からそういう呼びかけもあったものの、「そんなことをすると、現状はそれどころでない自治体の負担になるのでは」という危惧もあった。

 しかし、被災自治体に代わって事務手続きを行う自治体が増えたことで、その心配もなくなった。「Yahoo!ふるさと納税」の『熊本・大分地震「ふるさと納税緊急寄付金」まとめ』によると、代行自治体は37にも上る(5月31日現在)。

 また、同ページでは、直接対応が可能な被災自治体も一覧になっているので、アクションを起こしたい人はぜひ参考にしてほしい。

時間がたってからの寄付や返礼品の受け取りも重要な支援になる

 被災自治体に寄付をしたい時は、前述の『熊本・大分地震「ふるさと納税緊急寄付金」まとめ』から、各ふるさと納税サイト(「ふるさとチョイス」「さとふる」「楽天」「Yahoo!ふるさと納税」)の専用ページに移動することができるし、各サイトもトップページにふるさと納税による寄付を呼びかけるバナーを載せている。

 災害が発生してすぐに寄付をすることも大切だが、あえて時間をあけてからのふるさと納税にも意義があると、筆者は思っている。というのも、自治体が返礼品として農産物などを買い取ることで、地場産業の保護や振興につなげているケースが多いからだ。

 もっとストレートに、生産者不足で希少になった特産品を守るために、あえてそう打ち出して寄付を募る、クラウドファンディング的な扱いの返礼品もある。

 今、熊本県や大分県では安全な住まいの確保が最優先だが、やがて、打撃を受けた地場産業の立て直しに向かうようになるだろう。今は返礼品を出すどころではないし、寄付する側も「受けとるつもりはない」という人が多いが、ある程度状況が落ち着いてからは、逆に返礼品を受け取ることで支援ができるという考えもありだと思う。それは、東日本大震災の被災地についても同様だ。

 ほかの自治体も、返礼品の豪華さを競うだけではなく、寄付したお金がこのように地元の役に立っているという面をフィードバックすることに、もっと力を入れていいのではないだろうか。

 なお、「Yahoo!ふるさと納税」では、手持ちのTポイントを使った寄付もできる。「さとふる」では携帯電話のキャリア決済が可能で、ソフトバンクとauなら、毎月の利用料金とまとめて引き落とすことができる。また、どのふるさと納税サイトでもクレジットカード決済ができるので、クレカのポイントをためることもできる。

 被災地支援のふるさと納税に特化してはいないが、「ANAのふるさと納税」では、一寄付ごとにANA SKY コインが100コインもらえ、航空券などの支払いに使える(ANAマイレージクラブ会員が対象)。

 余談だが、ふるさと納税サイトは、どこも同じ自治体の同じ返礼品を紹介しているわけではない。サイトが独自に各自治体と契約し、特産品の写真撮影やPR、受付から発送まで一括で請け負っていることもある。したがって、ひとつのサイトだけではなく、あれこれはしごしてみると発見があるだろう。

返礼品でのレジャー体験は、地元にとってもありがたい

 総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果について」によると、昨年4~9月の納税受入額は約453.6億円、受入件数も約228万件と、前年度の同じ時期に比べて約3倍以上の伸びになっている(平成27年9月時点の調査)。

 昨年の制度改正によって税控除額が2倍に拡充、年収2000万円以下の会社員などの条件を満たせば確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」の導入、前述のようにふるさと納税サイトの整備が進んだことが、その理由だろう。

 返礼品も、単なる特産品だけではなく、ユニークなものが増えている。

 これからの季節なら、体験ダイビング(静岡県西伊豆町で3万円寄付)やしいたけ狩り&バーベキューペアセット(大阪府高槻市で3万円寄付)など、レジャー型は最適だろう。手打ちそば体験、稲刈り体験、農家民宿など、田舎暮らしを体感できるものも多い。

 地方にとっては、現地に足を運んでもらい、かつ宿泊や買い物でお金を落としてもらえるほうがありがたいし、将来の移住先としての期待もある。夏休みに国内旅行を考えているなら、ふるさと納税で体験型レジャーを楽しめる自治体に寄付しておくのも賢いやり方だ。

 個人的に面白いと思ったのが、宮崎県宮崎市。3万円の寄付で、プロ野球のオリックス・バファローズか福岡ソフトバンクホークスのファンクラブに加入できるという。年会費1万円のゴールド会員 (バファローズ)とハイグレード会員(ホークス)だ。

 どちらも上位ランクの会員になることができ、会員先行予約やチケットのプレゼントのほか、限定イベントにも参加できる。両球団のファンクラブに入っていたり入会を検討していたりする場合、直接申し込むより、ふるさと納税を利用したほうが、節税できる分トクをするというわけだ。

 宮崎市は両球団のキャンプ地となっている縁で、この返礼品を提供しているのだが、自治体のアイデアの幅が見える好例だと思う。なお、体験型や宿泊型は受け取れるチケットなどが何名分なのかを必ず確認しておこう。家族4人で使いたいのにペアしかもらえないとなると、足りない分は持ち出しになってしまう。

 最後に気をつけたいのは、節税の恩恵にあずかりたいなら、納税している人が寄付をしなければならないことだ。所得税や住民税を払っていない学生や主婦には、軽減できる税金がそもそもない。そのため、働いていない主婦の方がする際は夫名義のクレカを使うことをお忘れなく。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

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松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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