長い間、日本人の死亡原因の第3位になっている脳疾患。一般的には脳卒中といわれている。ちなみに、第1位は悪性新生物(がん)、第2位は心疾患(心筋梗塞など)だ。
脳卒中にはいくつかの種類があり、脳の血管がつまる「脳梗塞」、脳の血管が破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」に大別できる。さらに、脳梗塞は「脳血栓症」「脳塞栓症」「一過性脳虚血発作」に分けられる。
脳卒中は、簡単にいえば血管が固くなり、そこに血の塊が詰まって脳梗塞を起こしたり、強い圧力で血が流れて血管が破れたりするものだ。一般に、加齢と高血圧が原因といわれるが、血管が固くならなければ防げることが多いと考えられる。
また、脳卒中を防ぐために、塩分控えめの食生活とコレステロールを減らすことが重要だとよくいわれるが、これは誤解を招く表現だ。確かに、ナトリウムが多く味の濃い食事、油脂の多い食事は良いものではない。
だが、良質な塩は体に有用で、控える必要などない。科学的につくられた「食塩」によって味付けされた食事が悪いだけだ。また、コレステロールを減らすために、植物性脂肪を中心にした低脂肪食にするべきなどと指示する医師がいるが、これなどまったくの嘘といわざるを得ない。
コレステロールが低い状態は非常に危険だ。低コレステロールは脳卒中の原因となる。さらに、植物性の油は、脳卒中のみならず、さまざまな病気を招きかねない。逆に動物性脂肪は、脳卒中を防ぐ効果があるとみられるのだ。
脳出血は、血管をつくる元となるたんぱく質が不足して血管が脆くなり、破れてしまうことで起こる。また、脳梗塞は血液の粘り気が強まり、血栓となって血管内で詰まってしまう状態だ。
動物性脂肪は、良質なたんぱく質であり、酸化しにくい飽和脂肪酸だ。対して植物性脂肪は極めて酸化しやすい不飽和脂肪酸であり、多く摂取すれば血液の粘りが増して脳梗塞を招くおそれが高まる。
したがって、動物性脂肪を積極的に摂ったほうが脳卒中にはなりにくいのだ。特に、肉を食べるのがいい。それも、豚肉がもっとも優れている。また、豚の背脂からつくるラードは最高の油といえる。また、バターやココナッツオイルにも飽和脂肪酸が多く含まれており、健康に資することが期待できる。
揚げ物などには、サラダ油やキャノーラ油などの安い油がつかわれるが、これらは多価不飽和脂肪酸と呼ばれ、極めて酸化しやすく体に炎症をもたらす性質がある。
蛇足だが、コレステロールを悪者扱いする論者のなかには、卵を食べないように勧める人がいるが、卵はこれ以上ないほど優れた栄養に満ちている。卵をどんなに多く摂取しても、血中コレステロール値が上昇したというデータはない。ただし、卵からつくられているからといって、マヨネーズは極力食べないようにしたい。なぜなら、マヨネーズは4分の3が植物油だからだ。