入社4時間で辞めた社員…絶対に継続すべき場合も、すぐに辞めたほうがよい場合もある
入社してから4時間で会社を辞めた新入社員の女性がいたらしい。去る9月28日にツイートされてちょっとした話題になった。たった4時間で辞めるというのは前代未聞の出来事と思ったが、それに対する反響を見てみると、もっと短時間で辞めた人もいるようで、どうやら前代未聞ということでもないらしい。
今回の件に関しては詳しいことはわからないので、それに対して何かを言える立場ではないが、少々一般化して「短期間で何かをやめる」ということの是非について考えてみたい。結論からいえば、良し悪しは一概にはいえないと思う。私自身、やり続けてうまくいった経験と、短期間で辞めてうまくいった経験の両方があるのだ。
プロフェッショナルになる方法はやめないこと
まずは、物事そう簡単にやめるべきではないという話。
大学時代、先生の言うことなどろくに聞いていなかった私だが、今でも覚えている印象深い言葉がある。それは、「何かの専門家になるなんて簡単ですよ」という言葉である。その先生は「何事も誰よりもやり続けていれば、自ずとその道の専門家になるんですよ」と言ったのである。世の中、途中でやめてしまう人が非常に多いので、続けてさえいればいつの間にか専門家になるということだ。これには「なるほどな」と思った。
そういえば、高校時代の校長先生も、全校集会の度に「継続は力なり」と言っていた。私もそれを実践したおかげで、今があるようなものである。私は会計士であるが、別に会計が好きだったわけではないし、今でも好きなわけではない。仕事上の必要性から関心を持ち、「どうせやるなら」と思って働きながら会計士の試験にチャレンジしたのである。
公認会計士の試験は結構大変な試験なので、かなりの人が途中で勉強をやめてしまう。社会人ならなおさらだ。働きながらの受験は今にして思えば狂気の沙汰だが、半ば意地になってやり続けた結果、なんとか合格することができた。
通っていた専門学校の講師があるとき「絶対合格する秘訣を教えましょう」と言ったので、全員が食い入るように身を乗り出したら、「それは、合格するまで勉強し続けることです。そうしたら、何年かかっても必ず合格するでしょ」と言った。教室は失笑と呆れ顔だらけになったが、これは名言である。
その後、現在に至るまでずっと会計の仕事をし続けてきた結果、いつからか人は私のことを専門家と見るようになった。
結局、あるところまで行く人は、何度壁にぶち当たってもなんとかそれを乗り越えて、やめなかった人なのである。