入社4時間で辞めた社員…絶対に継続すべき場合も、すぐに辞めたほうがよい場合もある
「違う」と思ったらなるべく早くやめるのも重要
次は、とっととやめるのも悪くないという話。
実は、私は3カ月で会社を辞めたことがある。会計士に合格したのを機に一般企業からコンサルティング会社に転職した。そこには丸4年間在籍した。コンサル業界は5年もいれば長いほうで、丸4年もいるといろいろと不満が募ってきた。そんなこともあって、別のコンサル会社に転職した。
しかし、新しいコンサル会社は仕事のやり方が自分には合わなかった。そして何より、同じ業界内で会社を変えるだけでは不満は解決されないということに気付いてしまった。当時の私の不満を極めて簡単にいえば、それは組織で働くことに起因する不満だったので、会社という場で働いている限り根本的には解決されない不満だったのである。
それで意を決して、2番目のコンサル会社を3カ月で辞めたのである。そしてそのとき、私は独立を決意したのである。もともと、いつかは自分ひとりで仕事がしたいと思って会計士になったので、事の成り行きとはいえ、結果的には独立するきっかけとなったわけだ。3カ月しかいなかった会社にも、そこを紹介してくれたヘッドハンターにも多大なご迷惑をおかけしたと思うが、結果的にはその後の私の仕事を大きく発展させる転機となった。
一般的に、ずっと同じ職場にい続けることは必ずしもいいことではない。現在の日本は、職場に不満があったり、十分な能力が発揮できないような場合であっても、容易に会社を辞められる社会にはまだなっていない。労働市場の流動性がまだ決して高くないのも一因だし、何事も途中でやめることを良しとしないカルチャーも根強い。学校の部活からして、一度入った部活は卒業までやり遂げることが美徳とされている。「やってみなきゃ何に向いているかわからない」という考えの下、学期ごとにクラブ活動を変えるのが普通のアメリカなどとは対照的だ。
現在の職場に合わなかったり、たまたまうまく能力を発揮できないなら、早々に新たなチャンスを探したほうがいい。現に、私はそうやって独立し、今がある。3カ月で辞めるときは相当悩んだし、メンタル的にもかなり参っていたが、今にして思えばあのとき決断をして本当によかったと思う。
だから、何事も「違う」と思ったなら、早々にやめるに越したことはない。次のアクションを取るなら、なるべく早いほうがいいに決まっているからだ。
重要なのはその後である。その後にどのような行動を取り、どのような結果を出せるかがすべてだ。
4時間で辞めた女性も4時間で辞めたことが問題ではない。これからどうするかが一番の問題であり、それによってしか評価は決まらない。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)