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出光創業家代理人・浜田卓二郎氏インタビュー(前編)

出光、合併頓挫の全真相…「大株主に事前説明なく、おかしな話」「合併で楽、は錯覚」

構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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――そのときの経営陣の反応は?

浜田 さすがに「内容証明」には対応が早く、2~3日後にはお見えになりましたが、やっぱり合併のメリットを説かれるばかりで、それでは話になりません。「このまま株主総会がやられてしまうと既成事実が積み上がってしまう」と思っているところに、株主総会の案内状がきた。その案内状には案の定、合併のメリットや今後のスケジュールが書いてあったというわけです。

 私はその時、昭介氏には「この株主総会で反対表明をしないと、これだけきちんとした手続きを踏んで反対を表明してきたのに、無視されてしまいます。これは最後のチャンスですよ」と申し上げて、あえて私が株主総会の時に代理人として反対表明を行ったわけです。そこから大騒ぎになった。しかし、私どもは昨年12月17日の内容証明には「出光昭介、代理人弁護士・浜田卓二郎」ときちんと明記して株主としての見解を示しています。正規の書面を提出し、それ以来、一貫して我々の主張はまったく変わっていません。

――なるほど。

浜田 2014年に出光が昭和シェルの株式を取得しようとしたときには、吸収合併になることを嫌った昭和シェル側の反対で潰れた。そういう経緯が残っていますから、前述した軽井沢での会談も、昭介氏はその後の経過報告に来られたというぐらいの理解だったようです。昨年7月の時点から基本合意書が締結されるまでの4カ月の間、この内容についての説明も報告もまったくないわけですよね。

――昭介氏は出光の3分の1超の株式を持っているので、合併に反対できる。本来でいえば、大株主の権利を侵すような行為になるわけだから、少なくとも事前に説明しておくべきだったということですね。

浜田 34%の株を持った大株主がいる大企業は少ない。出光は10年前に上場しましたが、そのときはいろいろ議論があったようです。しかし、昭介氏はその後の10年間、株主として一切発言してこられなかった。月岡社長とは同じビルの1階違いにおられるにもかかわらず、やり取りは何もなかったわけです。それは昭介氏からすれば「もう経営は任せたよ」という話で、株主総会の議決権行使書も「みんなお任せします」でやってきたわけです。経営陣のほうもそれに慣れていたが、合併となると基本的な企業のあり方に変えることになる。ましてそれが対等の合併ということになれば、なおさらのことです。それを大株主に対して事前にきちんと説明もなく進めているわけですから、「それはないんじゃないか」というのが昭介氏の受け止め方だと思います。

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