ディズニーR、連続大幅値上げの裏で負債激減…体験価値向上のため5千億投資の大博打
東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)からなる東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドは、国内テーマパーク事業分野において、極めて稀で優秀な企業経営を行ってきました。
たとえば、2014年におけるTDRの年間入場者数は3138万人でしたが、これは2位のユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の1270万人、3位のハウステンボスの279万人をはるかに凌駕するレベルです。
これは筆者の推測ですが、2位のUSJ以下、日本中のテーマパークの入園者数をすべて合算しても、TDRの入園者数には遠く及ばないのではないのでしょうか。それほどまでにオリエンタルランドはガリバー企業として、日本のテーマパーク業界に君臨する存在です。
TDRが他のテーマパークを凌駕する理由は、その立地条件にあります。TDRは千葉県浦安市にありますが、成田空港からも羽田空港からもアクセスの容易な立地で、東京駅からも電車で15分ほどと近いです。要するに、TDRは首都圏および関東地方(人口約4300万人)という巨大な市場のなかにあり、しかも、空路・鉄道の両面における交通の要衝に位置しています。
そこにとびきり上等のテーマパークができてしまうと、ほかの地域にあるテーマパークがどれほど努力しても、TDRを凌駕するテーマパークをつくることは、事実上、不可能です。
さて、そのようなTDRの経営には最近、決して小さくない変化が見られます。今回はそれを紹介したうえで、最近のTDR、オリエンタルランドの懐事情を解説したいと思います。
変化1:積極投資への転換
TDRにおける過去最大の投資活動は、TDSへの投資でした。これは、1000億円を超える大掛かりなもので、当時、日本のテーマパーク業界では空前の大規模投資として注目されました。結果として、この投資は成功し、TDRはさらなる飛躍をしました。その後もTDRは積極投資を続けましたが、有利子負債が2500億円ほどになった2006年3月末以降においては、投資活動を抑制するようになりました。
それが、今年4月に発表されたプレスリリースにおいて、積極投資を行うことが公表されました。
まず、2020年までの5年間においては、総額で2500億円もの投資が行われます。その内訳は、TDLに対して5年間で総額750億円、TDSに対して5年間で総額250億円、2パーク共通で年間300億円(5年だと1500億円)というものです。