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出光創業家代理人・浜田卓二郎氏インタビュー(前編)

出光、合併頓挫の全真相…「大株主に事前説明なく、おかしな話」「合併で楽、は錯覚」

構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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基本的な疑問

――その後、6月の株主総会では浜田さん自身が株主総会に出席して合併反対の発言をしたわけですが、その間にどのような話し合いが行われていたのですか。

浜田 1月の交渉以降、6月の株主総会が間近に迫るなかで、向こうからなんの対応もなかったので、改めて5月23日に内容証明で反対の論点を整理したものをお送りした。その時点で初めて経営陣は「創業者一族が反対の意向を持っていることを認識した」とおっしゃっているようです。しかし、だとすれば昨年12月の意見書をどう受け止めていらしたのか、我々としては基本的な疑問を抱かざるを得なくなりました。

――出光昭和シェルの合併話が浮上したのは14年のことだったと思いますが、それから何があったのですか。

浜田 そこは私のほうはタッチしていないので、直接見聞きしているわけではないのですが、昭介氏によると、経営陣が話しているような内容とは違うようです。向こうは「昨年、昭介氏の別荘がある軽井沢に行って説明し承諾を得た」と話しているようですが、そうではありません。その時、昭介氏は単なる経過報告だと受け止めて、「まあ様子を見ましょう」といった対応をとったそうです。別荘ですから、昭介氏としっかりと会議したということでもなく、また、書面に基いて承諾したという話では全然ないわけです。

 株主総会が目前に迫っていても向こうからはなんの対応もないわけですから、私のほうが昭介氏に「株主総会が合併の話題一色になりますよ。会社提案では合併を推進している役員の全員を再任するという議案が提出されているので、事実上の大株主である出光家が合併を承認したことになってしまう。それでは反対表明のタイミングはなくなってしまいますよ」と説明しました。

軽んじられた大株主

――そのとき昭介氏はどのような話をされたのですか。

浜田 昭介さんはかつて12年間社長をおやりになっていましたから、今の月岡隆社長も含めて経営陣はみんなかつての部下です。「会社も大事だし部下もかわいい」という思いが基本的におありだった。だから「争わないで解決したい」「話し合いで解決したい」とずっと言い続けておられたわけで、昨年12月から今年5月までに、対外的にはいろんな作戦があり得たのだろうと思いますが、対外的には何も申し上げないできたわけです。しかし、このまま見過ごしてしまえば、何もなかったかのように株主総会が行われて、合併が進められていくことになる。だから、あえて内容証明を送ったのです。

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