2017年の大きな話題のひとつは、“東芝の救済”である。
東芝の米国での原発事業をめぐる損失額は、17年3月期に7000億円規模に膨らむ可能性が高い。昨年9月末時点の自己資本は3600億円なので、損失額が7000億円となれば債務超過は避けられなくなる。
仮に、今期末時点で債務超過になったとすると、有価証券報告書発行時点で東証1部から同2部への降格が確定する。8月1日付で2部指定となり、その前日の7月31日の大引けで、日経平均およびTOPIXの採用から除外される。シャープの場合、第2部へ降格当日の昨年8月1日に最安値87円をつけている。
債務超過→東証2部指定替え→日経平均採用除外→株価崩落という負のスパイラルが予想されるわけだ。
そこで債務超過を避けるために東芝は、唯一残った稼ぎ頭の半導体事業をスピンアウトする。分社した新会社の株式を、国内外の企業や欧米の投資ファンドに2000億円程度で売却し、加えて東芝が出資している国内のグループ企業の売却によって赤字幅を縮小することを狙っている。
年明け早々、原発事業で数千億円規模の減損損失が出る可能性があるとの発表を受け、日本電気(NEC)との合併説が浮上した。東芝とNECの経営統合の話が出るのは今回が初めてではない。リーマン・ショック後の09年当時にも、似たような構想が取り沙汰された。ところが今回は、7000億円という巨額な損失がネックとなり、合併は困難とみられている。
東芝の経営悪化の“がん”は米原発事業だ。これを切り離さなければ再建はあり得ない。
三菱重工と日立製作所の合併説
三菱重工業にも、経営統合説が再浮上してきた。同社は1月23日、子会社の三菱航空機が開発中の国産ジェット機MRJの納期が2年ずれ込むと発表した。納入延期は5回目。納入は7年半遅れることになり、初号機の納期の新たな見通しは20年半ばだ。
3000~4000億円とみられたMRJの開発費は、3~4割増える。開発当初の見積もり(1500~1800億円)の3倍に膨らみ、5000億円を超える。無事離陸したとしても、5000億円超の初期投資を回収できるのかは不明だ。447機を受注しているが、このうち200機はキャンセルが可能な契約である。開発コストがまるまる損失につながるという最悪のケースを想定せざるを得ない深刻な事態だ。