トヨタの究極の次世代車はEVか
次世代車として燃料電池車(FCV)開発に注力していたトヨタ自動車が、2020年までに電気自動車(EV)の量産体制を整えると発表した。続いてグループ企業3社とトヨタの4社によるEV開発の社内ベンチャーを立ち上げた。
トヨタにとって究極の次世代車は、EVの欠点をあげつらってまで進めたFCVからEVに取って代わられるのか。また、グループ企業の協力を仰いだということは、トヨタ単独でEVは開発できないのか。疑問は尽きない。
トヨタはEVもつくってきた
EVを嫌うトヨタだが、本格的な量産こそ行わなかったが、これまでEVを開発し、一部は販売もしてきた。たとえば近々では、実質的に2人乗りのiQを改造したEVのeQを開発した。もっとも、ベースモデルのiQがすでに生産中止になっているので、eQが今後発売されることはない。
本格的なEVは、SUVのRAV4を改造したRAV4EVだ。これは2度にわたって開発、販売された。最初のRAV4EVはトヨタのハイブリッド車(HV)に現在でも使われるニッケル水素電池を搭載したモデル。02年に発表され、主に米国で販売された。一部は国内でも売られ、まだ現役のRAV4EVもあるといわれる。航続距離こそ短かったが、モナコEVラリーに出場するなど、スピード、レスポンスには見るべきものがあった。
それから10年。12年に再びRAV4EVを開発、発売する。今度は米テスラモーターズとの共同開発によるものだ。電池もリチウムイオン電池となり、航続距離も160キロメートルほどと長くなった。しかし、14年に販売が中止された。
それ以外では、ミニカーに分類される1人乗りのEV、コムスがある。リチウムイオン電池にくらべると性能は低いが、信頼性のある鉛電池を使う。コンビニエンスストアの配達などにも使われ、この手のニーズにこたえている。
このようにトヨタはEVを開発していないわけではなく、一時はホンダ、日産自動車と競って、自動車会社に販売台数の一定割合を排ガスゼロ車にするよう義務付ける米カリフォルニア州の規制、いわゆるZEV規制にこたえるべく、当時としては十分に高性能なEVを開発していた。ただし、いずれも本格的な量産には至らなかった。