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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

99%の人々から搾取するディズニー型ビジネス=夢が醒めた後…日本の絶望と階級闘争

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東京ディズニーランド・ステーション駅(「Wikipedia」より/掬茶)

 日本は、これまで基本的には少数の民族で成り立ってきた国だ。国民の間では考え方や価値観にあまり大きな違いはなく、他人をあまり疑うこともせず、大きな争い事は極力しないことを美徳としてきた。反面、何か事が起こった時にも、「誰の責任であるのか」といった追及はあまりせずに、なんとなくうやむやにするのも、日本人の特徴だった。

 しかし日本は、どうやら大きな歴史的転換点を迎えようとしている。戦後、世界でも稀に見る人口爆発といってよい人口の急増は、日本の経済成長を常に「量的充足」という意味で支え続けてきた。そうした日本の発展に注目し、日本の中に着実に根を張っていったのが、1971年に進出してきたマクドナルドだ。郊外へ郊外へと延びていく人々を追いかけるように、マクドナルドは店舗網を拡大、全国47都道府県すべてに店舗を張り巡らし、日本のすべての人にハンバーガーを食べさせる、という「量的充足」戦略は日本では大いに成功を収めた。

『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書/牧野知弘)
 こうした「量的充足」を前提としたビジネスモデルは、不動産についてもまったく同じだった。人々には「住む」ための住宅、「働く」ためのオフィス、そして「買い物」をするための商業施設を、日本全国、人がいる場所に提供し続けることが不動産業界の使命だった。

 このビジネスモデルが変調をきたすのが、96年前後である。バブル崩壊は92年ごろとするのが一般的だが、当時は政府・日銀が人為的に「バブル退治」に走ったことによって不動産価格の下落が始まったが、日本の各種指標を冷静にみると、多くの指標で96年前後から逆転現象が生じ始めていることがわかる。

 つまり、日本の生産年齢人口(15歳から64歳までの働き手)が減少に転じ、それまで家族形態の主体であった専業主婦世帯が共働き世帯とその数が逆転する、男女雇用均等法の改正で女性の深夜、休日の労働が解禁になるなど、人々のライフスタイルに大きな変化をもたらす動きが顕在化したのがこの頃なのだ。

「量的充足」の旗手だったマクドナルドもこの頃を境に業績を大幅に悪化させ、今でもデフレからの脱却にもがき苦しんでいる。

不動産業界への波及


 そしてこの変化の波は、「量的充足」のみをひたすら追求してきた不動産業界にも押し寄せ、不動産はその価値を大幅に棄損させ、社会はその後に続く長いデフレの時代に突入していく。

『2040年全ビジネスモデル消滅』 第1章 マクドナルドが目指した「量的充足」社会の実現―一九七一年からの四半世紀を展望 第2章 ディズニーランドがこだわる「質的充足」ビジネスの展開―日本の絶頂期八〇年代にやってきたディズニーランド 第3章 マクドナルドはなぜ行き詰ったのか―九六年以降の日本社会の変質 第4章 ディズニーランドはなぜ三年連続で値上げできるのか―社会の変質の先にあったディズニーランド型価値観の創出 第5章 マクドナルド型ビジネスモデルに見る今後の価値下落―二〇二一年以降の社会の展望 第6章 ディズニー型ビジネスモデルによる価値創造―二〇二一年以降の不動産価値 第7章 ディズニーの夢から醒めたとき―二〇四六年に向けてのクライシス amazon_associate_logo.jpg