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韓国民団「財閥改革のハードルは韓国人若者の大企業指向」「北朝鮮問題の最大の被害者」

構成=長井雄一朗/ライター
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韓国民団「財閥改革のハードルは韓国人若者の大企業指向」「北朝鮮問題の最大の被害者」の画像1在日本大韓民国民団中央本部副団長の林三鎬氏

 韓国第19代大統領に革新系「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏が就任して、3週間以上がすぎた。韓国は、内政では財閥改革や格差是正、外交では北朝鮮の挑発や従軍慰安婦をめぐる「日韓合意」の再協議など、問題が山積している。激動する世界のなかで、政権交代が行われた韓国と関係各国の連携は欠かせない。

 これまでも日韓間の架け橋となっていたのが、在日韓国人のための組織「在日本大韓民国民団」だ。今、この民団は韓国を取り巻く状況および文政権の誕生をどう感じているのか。民団中央本部副団長の林三鎬(イム・サムホ)氏に話を聞いた。

文大統領が国民の期待を裏切れば再び不安定化

――文大統領の誕生を、どう捉えていますか。

林三鎬氏(以下、林) 期待と心配の両面があります。期待の面では、革新政権であること。韓国は内政の問題が山積しているので、少しでもいい方向に向かってほしいと思っています。

 心配は、文大統領が公約をどこまで実現できるかという点です。韓国の国会は野党が多数を占めており、国会で何も決まらないとなっては困ります。また、今回の政権交代は朴槿恵(パク・クネ)前大統領の退陣を迫る「ろうそくデモ」に端を発する側面もあるため、国民の意向を無視できません。そんななか、多くの公約の実現性については心配もあります。仮に国民の期待を裏切れば、韓国の政情は再び不安定化する可能性があります。

 ただ、就任以降は現実的な発言も多くなっているので、「うまくやっていくのかな」という期待感もあります。

――民団では、どのような声が上がっていますか。

 民団は、さまざまな方によって組織が形成されています。韓国国籍の方はもちろん、日本国籍の方やいわゆるニューカマーの方々も民団に加盟しています。それをひとつの意見として合意形成することはできませんが、政権交代があっても一喜一憂はしていません。

 ただ、年配の方たちは朴正煕(パク・チョンヒ)時代に愛着があり、革新政権の金大中(キム・デジュン)や盧武鉉(ノ・ムヒョン)の側には距離感があります。一方、ニューカマーの中には革新政権の誕生を歓迎する人もいます。民団は、時の政権に対して可能な限りあらゆる対応を行い、言うべきことは言います。それは、保守・革新を問わずです。

 また、民団は金大中や盧武鉉時代にもうまく対応しています。文大統領は、過去に保守から革新への政権交代を経験しているので、バランス感覚もあるはずです。そこで、民団ともうまく調整・調和することを期待しています。文大統領は、民団の役割について、日韓の架け橋であることを十分に認識されているので、お互いにいい関係を築けるでしょう。

韓国国民が期待する財閥改革は非現実的か

――では、内政の問題からうかがいます。韓国では、政府の財閥優遇政策に対して国民の怒りが強く、文大統領も「財閥改革」を公約のひとつに掲げています。

 はっきり言って、戦後の日本における財閥解体のようなことを期待するのは難しいと思います。経済の構造改革は、長期的な視点に立った解決が現実的です。もし、一気に財閥改革を行うとすれば、革命的な手法をとらない限りは無理でしょう。北朝鮮との関係に鑑みても、言うほど簡単ではありません。

 まずは、中小企業の長期的な育成による漸次改革が望ましい。そのための法律をつくり、行政がしっかりと執行すれば可能です。ただ、国民がその漸次改革で納得するかというのが問題です。高齢者層は「実際にはこんなものだろう」と理解を示すかもしれませんが、若者層はそれでは収まらないと思います。現実と若者層の願望とのギャップをどう埋めていくかが難しいところであり、不安材料です。

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