安倍首相、自民党議員への裏切り行為…ワンマンプレーに党内の「安倍批判」沸点
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
学校法人「加計学園」の獣医学部新設などをめぐる問題で、安倍晋三首相と和泉洋人・首相補佐官が出席した閉会中審査が、7月24日に衆議院、25日に参議院の予算委員会で行われました。
国会閉会中とはいえ国民の関心は高いようで、審議の様子はNHKで放送される「テレビ入り」となりました。しかし、これで数々の“疑惑”は晴れたのでしょうか。答えは「ノー」だと思いますが、読者のみなさまのご意見はいかがでしょう。
安倍首相の方針転換で自民党が大混乱、ため息も
こうした公の場での疑惑解明はもっと早く行うべきでしたが、安倍首相は完全に判断を間違えてしまったと思います。それに、野党から要求された閉会中審査に応じるとしたタイミングも最悪でした。
せっかく、自民党国会対策委員会が首相を守ろうと忖度して野党の要求を突っぱねたのに、その日の夜に突然「閉会中審査はやるべきだ」と首相が発言したのです。現場の自民党議員たちの労力を無視するかたちになり、身内からもため息が聞こえてきました。自民党総裁である安倍首相が「応じる」と答えてしまったため、現場は大混乱となったのです。
さらに、予算委員会の日程を協議する理事懇談会は各党の駆け引きによってなかなか開かれず、正式に行われたのは19日。それまで、質疑時間の配分をめぐって自民党と民進党の筆頭理事間でかなりもめていたのです。
現場の自民党議員の1人は、「こっちは必死で首相を守るために野党の要求を突っぱねてきたのに、急に首相自身が方針転換するんだから、まいるよね。しかも、我々には事前になんの連絡もなく、トップダウンで。だから、疑惑解明のために、せめて俺たち与党からも存分に質問させてもらいたい」という気持ちになったそうです。
結局、世間からさんざん非難を浴びながらも、いつも通り「与党3:野党7」の時間配分で決着。自民党だけが損をした感のある日程協議でした。
加計学園問題の本当の“闇”とは
民進党は、参考人として安倍昭恵氏や加計孝太郎氏の出席も要求していましたが、かないませんでした。神澤からすれば、この2人も堂々と出席して、国民の前で発言するべきだったと思います。
神澤たち秘書団は、「今回の加計学園の疑惑については、安倍首相への忖度があったに違いない!」と思っています。そもそも、事前審査は結論が決まっている状態でなければ省庁も対応しないからです。
しかし、神澤を含めた永田町の住人の多くは、それ自体は問題とは思っていません。加計学園しか積極的に獣医学部新設の準備を進めていなかったのですから、検討するのは当然です。それに、大学ができれば学生にも研究者にも地域にもメリットがあり、最終的には国益にもつながるので、反対する理由はないのです。
問題があるとすれば、「腹心の友」が関わっている案件なのに「関係ない」と言っていたこと、前川喜平・前文部科学省事務次官の証言や閉会中審査の要求などにきちんと対応しなかったことでしょう。
友達が関わっていれば怪しまれるのは当然ですし、当事者の証言が「記憶にない」ばかりでは、国民のみなさんもあきれてしまいます。いずれにしろ、一度下がってしまった内閣支持率を取り戻すのは難しいでしょう。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。