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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

アベノミクス円安、日本に多大な恩恵…正規雇用も賃金も増、家計の金融資産150兆円増

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第3次安倍第3次改造内閣(「首相官邸 HP」より)

10円の円安で1.2兆円の実質所得増加


 今回は、円安による影響や対策について考えてみたい。

 まず、大胆な金融緩和に伴う円安により、輸入物価が上がり、家計に悪影響をもたらすとの批判がある。実際、過去10年間のドル円レートと消費デフレーターの関係をみると、ドル円レートが10円円安になると、3四半期後の消費デフレーターを約+0.67%押し上げるとの関係がある。つまり、2016年の家計消費(除く帰属家賃)が約243兆円であることからすれば、円が対ドルで10円円安になると、3四半期遅れて家計負担を年額で243兆円×0.67%=+約1.6兆円程度増やすことになる。これは、10円円安が進めば、国民一人当たりの負担が年間約1.3万円程度増えることを示唆する。



 ただ、円安にはメリットもある。まず、国内の雇用機会を増やす。事実、過去10年間のドル円レートと就業者数の推移をみると、就業者数がドル円レートに遅れて明確に正の相関関係にあることがわかる。そこで、過去10年間のドル円レートと就業者数の関係をみると、ドル円レートが10円円安になると、12カ月遅れて就業者数が+30万人程度増加することになる。さらに、過去10年間のドル円レートと雇用者報酬の関係をみると、ドル円レートが10円円安になれば、4四半期遅れて雇用者報酬が年額で+2.8兆円増加することになる。


 なお、円安になると仕事が増える背景には、円安に伴い国内で生み出されたモノが相対的に割安になることがある。このため、輸出関連産業では製品の競争力が増すことで人手が必要になる。また、輸入代替産業においても競合する輸入品の価格が上がるため、国産品の需要が高まり雇用が必要となる。さらには、国内のサービスも価格面から競争力を増すため、外国人観光客の増加などにより、サービス産業への需要も高まり、雇用が生み出される可能性が指摘できる。

 一方、雇用の質の面についても、アベノミクス初期段階に増加した雇用者数の多くが非正規と批判された。しかし、15年秋以降は正規雇用も増加に転じており、同年後半以降は非正規を上回る増加を示している。従って、アベノミクスに伴う雇用の増加を非正規と決めつけるのはもはや誤りであり、むしろ正規雇用の増加がけん引しているといえる。

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