「若者の●●離れ」という表現をよく目にする。筆者が目にしただけでも「テレビ」「バイク」「政治」と、ライフスタイルから社会参加の形式まで若者が離れていったとされるものには枚挙に暇がない。一部サイトではジョークとして「若者が離れていったもの一覧」が作成されるほどである。
若者は「おっさん・おばさん」が知らないもので遊んでいる
では、若者は何をして生きているのだろうか? 私はマーケターとして消費者リサーチの現場に携わっているが、若者はいたって健全な暮らしをしている。ただ、その道具があまりにハイテクすぎて35歳以上には見えないだけだ。たとえば20代以下は「メルカリ」「ラクマ」を代表とするフリーマーケットアプリで買い物をし、電子マネーで決済するのが一般的だ。
さらに10代は「MixChannel(ミックスチャンネル、通称ミクチャ)」で動画を配信し合って、自分が発信者となりつつも同世代の動画を楽んでいる。ヒアリング調査でも、メイクの方法やおすすめグッズ情報は、芸能人よりも同世代の人気動画配信者から得ればいいという考えが浸透している様子が如実に伝わってくる。
友人同士では画像投稿型のSNS「Instagram(インスタグラム)」で近況をアップロードしつつ、友達とも画像や動画を通じてつながっている。どこかで待ち合わせて「最近どう?」なんて訊かなくても、インターネット回線さえあれば家の中で友人の近況はわかる。だから傍目にはインドア派かつ、友人とのつながりも希薄に見えるだろう。デジタルの世界で少年少女は常につながっているにもかかわらず、我々には見えないだけだ。
こうしてみると、若者は十分娯楽へ時間を割いている。そして若者の遊びが理解されなかったのは、今の30代以上が若かったころも同じだろう。親世代は常に子世代の遊びへ理解が及ばない。「若者の●●離れ」をしたり顔で論じている人間がいるとするならば、単に自分が「おっさん・おばさん」になったことを自覚できていないだけだろう。