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地味にスゴいぞ、村田製作所は。 常に世界の最先端技術を支え続ける会社の秘密

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 昨年後半、村田製作所の株価は伸び悩んだ。背景には、2017年、世界のスマートフォン出荷台数が初めて前年から減少したことがある。なかでも、世界全体でiPhoneを中心とする高価格帯のスマートフォンの需要が頭打ちになった。それが村田製作所の業績鈍化懸念を高めたのである。また、状況を打開するためにアップルがより高機能の部材の提供を村田製作所に求め、対応のためのコスト増加が業績を圧迫するとの見方もあった。

新たな成長分野の開拓

 18年に入ってからも、村田製作所の株価は上値の重い展開をたどった。アップルのiPhoneXのシェア低下が指摘されるなど、村田製作所の成長を支えたiPhoneの売り上げ拡大は期待しづらい状況にある。

 こうした市場環境のなか、多くのアナリストが村田製作所の株への“買い推奨”を取り下げた。アナリストらが注目したのは、収益源の多角化だ。スマートフォン向けの部材・パーツ生産に加え、新たな事業からの収益獲得が実現するか否かが注目されたのである。それは、収益源の多角化が実現すれば、業績のブレは小さくなり、株は買いやすくなるという発想だ。加えて、年初来、為替相場で円高が進んだことも村田製作所の業績予想にマイナスに響いた。

 4月下旬、こうした慎重な見方が一変した。株価を見ると、それがよくわかる。4月下旬以降の株価は、それまでとは対照的に、右肩上がりだ。株価上昇の勢い=モメンタムは強くなっている。

 これは、市場参加者が村田製作所の成長を、従来にはない新しい視点で評価し始めたことの表れと考えるべきだ。最も重要なことは、同社が“新しい需要源(供給先)”を見つけ、それが今後の成長を支えるとの期待が高まっていることだ。言い換えれば、アナリストの予想が常に正しいとはいえない。また、彼らの予想は足許の動きにとらわれ過ぎているともいえる。

 特に同社が、自動車の分野でも積層セラミックコンデンサーなどへの需要が拡大していることを示したことは大きい。これを受けて市場参加者は、村田製作所が新しい需要源(基盤やコンデンサーなどの供給先)を開拓できていると判断した。

 トヨタの新型クラウンのようにスマートフォンなどのITデバイスとコネクトする自動車は増えている。その変化の先には、自動車がITデバイスの一つに位置付けられる展開があるだろう。自動車は移動の手段ではなく、データを収集・発信する機器としての性格を強めるということだ。この変化は、今後もより大きな範囲で、加速度的に進む可能性がある。また、電気自動車(EV)の開発が進むにつれて、セラミックコンデンサーが使われる範囲も拡大するだろう。

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