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ダイキンとチームラボの一大プロジェクト 人工雲の生成、空の雲に落書き その狙いは?

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 デジタルアートの制作などを手がけてきたウルトラテクノロジスト集団・チームラボとダイキン工業(以下、ダイキン)は、雲に映像を投影するという前代未聞のプロジェクトを行っている。数々の難問を乗り越え、実験を繰り返し、いよいよ9月10日~12日、投影会を開催しようとしている。

 そこで、ダイキン工業・総務部・広告宣伝グループ長 片山義丈氏に今回のプロジェクトについてお話を伺った。

●空調機器メーカーNo.1としてのブランディング

――そもそも、このプロジェクトを始めたきっかけを教えてください。

片山義丈さん(以下 片山) ダイキンは、空調メーカーとして、主に一般消費者向けのエアコンを扱っているので、ある程度世間に名前は知られてはいると思いますが、「世界No.1シェアの実績」「技術力が高い」「商品が優れている」というようなイメージは、なかなか持ってもらえていないのが実情です。ダイキンのキャラクター「ぴちょんくん」の誕生で、従来に比べるとダイキンは消費者の身近になってきていると思いますが、まだまだ総合家電メーカーよりも知名度は劣っています。

 今回は、ダイキンの持つ技術を使って感動体験してもらうことによって、空気のプロとはどういうものかが、一般消費者にダイレクトに伝わるということを期して、雲を使って何かしたいと考えるに至ったのです。

 人が1日に20kgも口にしている身近な空気に対して、多くの人に関心を持ってもらおうと考え、今までにも空気を題材にしたさまざまな活動に取り組んできました。本プロジェクトも、その一環です。

人に感動を与えるためには、

(1)国や人種を超えて、誰が見ても美しいと思えること

(2)「こんなアイディアがあったのか」と思えるような、斬新なアイディアや発想に基づくチャレンジであること

という2つの要素が求められると考えています。

――大気汚染を考えてもらうというよりは、身近にある空気についてという意味ですね。

片山 そうですね。身近にある空気について、みんなにもっと興味を持ってもらいたいというシンプルな発想で、きれいな映像を雲に投影したら「すごい」と思ってもらえるのではないかと期待して始まった、夢のあるプロジェクトです。

●「雲生成装置」の開発

――雲プロジェクトを推進していくに当たって、苦労した点はどこでしょう?

片山 そもそも「雲に映像が映るのか?」「映るとしたら、どのような条件?」がわからない――というところからのスタートで、それを確認するために、自然界に近い雲を再現しないといけませんでした。

 映像投影に理想的な雲の条件や、出現率について分析するために、雲を人工的に生成する「雲生成装置」を独自に開発しました。

 過去には、グリコールという薬品を使って広い空間で人工雲を生成した事例がありますが、弊社が開発した雲生成装置のように、小さな空間で自然界に極めて近い雲を生成するのは技術的にも難しく、ほかに例を見ません。

 空気中のホコリなどの微小な物質が核となり、核に空気中の水分が付着したものが雲になります。弊社の実験では、核に線香の煙を使い、薬品よりも自然に近い条件で発生させることに成功しました。

 雲の発生には、空調の4要素である「温度」「湿度」「気流」「空気清浄」が大きく関係しており、当社は、それらを自在にコントロールする空調技術を応用することで、雲を再現することができました。

――今回のプロジェクトを通して、また新たな商品開発とか事業化に向けて、これがベースになることがありそうですか?

片山 雲生成装置自体は、雲への映像投影の可能性を検証するために製作したものなので、すでに解体しているのですが、夢から始めた今回のプロジェクトで得たノウハウは、短期的な製品開発に貢献するというよりは、従来志向の性能・技術を超えた、空気の新しい付加価値を創造することにつながっていくことを期待しています。

 例えば、雲生成装置のノウハウを基に、雲を通じて空気について学べるコンテンツの制作も検討しています。冷やす、暖める、潤す、さらっとさせるといった基本的な技術を常に時代対応に高度化するのはもちろんのこと、空気のプロとして提供できる新たな価値とは何なのか? これを考えるのも、ダイキンの重要な役目であるからです。

――今回は、その技術を含めた集大成がネット配信されるわけですね。

片山 そうですね。国境を越えてスピーディーな情報拡散が可能なWEBを積極的に活用し、映像などの視覚的な情報を発信することで、言語が違う人々に対しても非言語で感動を共有できると考えています。世界No.1の空調メーカーとして、世界中の人々にダイキンが「空気にチャレンジしていく姿勢」を伝えたいと考えています。

BusinessJournal編集部

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