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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第24回

冤罪を免れるのは困難、中身を見ず和解を強要…裁判所の病理を元裁判官が告発

文=新田龍/ブラック企業アナリスト
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●裁判に巻き込まれた時の対応

–一般の人が裁判に巻き込まれた時に、このような司法に対してできることはありますか?

瀬木 まず、司法の現状を知るという意味で、基礎知識を持つことが大切だと思います。普段から、司法も含めた社会問題について関心を持ち、大手のメディアが政治家や官庁、裁判所の発表を垂れ流しているだけの情報を鵜呑みにするのではなく、自ら情報を集めるようにする。そうして、正当で的確な言論をできるようにするための基礎知識を得ることが大切です。

 裁判所は公的機関ですから、世論からの正当な批判には非常に弱い組織です。だからこそ裁判に巻き込まれても、例えば弁護士などアドバイザー的な人間がいて、裁判の傍聴などに仲間の協力を求めたりしながら、正当な論評や批判もできれば、その事件について裁判所の扱いは変わってくるはずですし、審理結果にも影響があるかもしれません。

 現状は、そのような批判が上がることがほとんどないため、ひどい内容の裁判をしている裁判官が栄転したり、逆に、非常に良い内容の裁判をしている裁判官が左遷されたりする横暴がまかり通っています。ここに大きな問題があるのです。あまりにもおかしいものについては、弁護士会なども声を上げるべきでしょう。

 その上で社会的な問題意識が広まって、仕組みそのものを変えることができれば、本格的に良くなっていくと思います。

 本書でも書きましたが、例えば裁判員制度などでも、裁判員となった人に守秘義務として懲役刑まで規定するのをやめて、特定の意見を述べた人の氏名や個人のプライバシーなどの個人情報のみを秘密として、そのほかの情報は自由に公開してもよいとするだけでも、裁判所はずっと開かれた組織になるはずです。そのように仕組みや法律そのものを変える取り組みを行っていくことが大切ではないでしょうか。

 日本の司法の問題の根源の一つは、国民が司法は国民のためになる仕事をしてくれると思っているところにあると考えています。しかし現実は、そのような性善説的な発想とはまったく異なるのです。だからこそ、この問題を多くの人が考えることが必要です。

 今や、少数派の良識ある裁判官も、弁護士や大学教員に転職したがっている人が増えていると聞きます。この社会問題は喫緊の課題ではないかと、現状を危惧しています。

–私たち世間一般の人々も、いつ何時、自分の身に降りかかってくる司法の問題として関心を持たなければならないと感じました。今回はありがとうございました。

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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