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ヤフーのイー・アクセス買収、白紙撤回に至った“別の”理由?解消したソフトバンクの懸念

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●ソフトバンクの資金繰りや電波免許獲得の問題が買収に影響か

 そもそも今回のヤフーのイー・アクセス買収は、発表直後から買収の必要性を見いだしにくいといわれていた。買収発表当時、ヤフー側はスマートフォンやタブレットの普及を進める上で、仮想移動体通信事業者(MVNO)より自由度が高い直接運営を選んだとしている。だが、そもそもヤフーとイー・アクセスはいずれもソフトバンクのグループ企業であり、買収をせずとも協力してヤフー主体でのサービス展開をしやすい環境にあったはずだ。

 それにもかかわらず、ヤフーが多額の費用をかけてイー・アクセスを買収しようとしたのには、ソフトバンクの意向が大きく影響しているのではないかと業界関係者の間ではささやかれている。その理由の1つとしては、昨年買収した米国の携帯電話事業者・スプリントの再建や、Tモバイルの買収による米国での事業展開のために費用がかかることから、ソフトバンク側が現金を欲していたということだ。

 もう1つの理由に、今後の電波免許獲得を優位に進める狙いがあったことも考えられる。そもそもソフトバンクがイー・アクセスを買収した際、“電波を金で買うのか”という批判が起きたことから、イー・アクセスを完全子会社化した後に、議決権付き株式を譲渡して独立性を高めたという経緯がある。それだけに、イー・アクセスの独立性を高めつつ、グループ全体で今後の電波免許獲得を優位に進める上でも、ヤフーへの売却という手段に出たともいえる。

 そうしたソフトバンクが抱える懸念がなくなったことが、ヤフーの買収中止という判断に至ったと見られているようだ。資金繰りに関しては、5月7日にソフトバンクが出資する中国のアリババが上場したことなどで、めどが立ったともいわれている。また電波に関しても、総務省が企業グループ内での電波共同利用を認めると判断したことから、イー・アクセスの独立性を無理に高める必要がなくなったとソフトバンクが判断した可能性が高い。

●新事業でユーザーの期待に応えることができるか

 いずれにせよ、短期間での買収中止決定が、買収対象となった企業はもとより、ユーザーに対しても多くの混乱をもたらしている。このことは、やはり責められて然るべきだろう。

 特にヤフーに関しては、インターネットサービスとインフラ事業を融合した、従来にない新しい取り組みを期待する声も少なからず上がっていた。それだけに、たった2カ月でその“覚悟”を覆してしまったことには、疑問を抱かずにはいられない。

 ではその後、イー・アクセスとウィルコムはどうなったのかというと、冒頭で触れた通り6月1日に、当初の予定通り合併した。当面は従来通り、携帯電話はイー・モバイル、PHSはウィルコムと、それぞれのブランドで、ある程度独立した事業展開をしていくようだ。実際ウィルコムは、月額1500円で回数制限なしの通話定額を実現する「スーパーだれとでも定額」を5月30日に発表。6月よりサービスを提供している。

 今後リリース通りにシナリオが進むのであれば、イー・アクセスはいずれワイモバイルに社名を変更し、ヤフーとの協業で新しい事業を展開することになる。多くの混乱をもたらした“責任”を取る上でも、ヤフーは新事業で、ユーザーを喜ばせる画期的なサービスを提供してくれることを期待したいものだ。

ロボット事業への参入を大々的に発表したソフトバンクだが、一方で主力の携帯電話事業に対する関心の薄まりが懸念されている

 特に最近は、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏が決算発表会の場で、ソフトバンクモバイルの新製品に関する大規模な発表会は当面実施しないと宣言した一方で、6月5日にはロボット事業への参入を大々的に発表。ソフトバンクが国内の携帯電話事業に対して急速に関心を失い、存在感が低下しつつある印象も少なからず受けている。それだけに、グループの主力事業である携帯電話事業を活性化していく上でも、ヤフーの取り組みが重要なものになってくるのではないだろうか。
(文=佐野正弘/ITライター)

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