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永井孝尚「企業の現場で使えるビジネス戦略講座」

なぜ私は50歳を過ぎて、「仕事=心からやりたいこと」を実現するのができたのか?

文=永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表
なぜ私は50歳を過ぎて、「仕事=心からやりたいこと」を実現するのができたのか?の画像1「Thinkstock」より

仕事やりがいが感じられない」

 多くの人から聞く言葉だ。私自身、講演や研修でこの言葉をよく聞いてきた。ではどうすればよいのか? 私は本連載のテーマである「お客様が買う理由」をつくることがカギであると考えている。

 あなたは仕事でお客様に「とても助かった」「ありがとう。あなたのおかげだ」と言われて、うれしくなった経験はないだろうか? 人は他人に喜んでもらうと、自分もうれしくなるものだ。だから「お客様に喜んでいただく」状態を積極的に創り出すことで、ビジネスを通じて自分自身もうれしくなる。そしてこれが仕事のやりがいにつながっていく。逆に「お客様に喜んでいただく」状態がつくれないのは、辛いことでもある。

なぜ私は50歳を過ぎて、「仕事=心からやりたいこと」を実現するのができたのか?の画像2『そうだ、星を売ろう 「売れない時代」の新しいビジネスモデル』(永井孝尚/KADOKAWA)

 本連載で繰り返し述べているように、「お客様が買う理由」をつくるためには、まず自社ならではの強みを見極め、その強みを必要とするお客様を特定し、そのお客様の課題を把握した上で、強みを活かしてその課題を解決する方法を提供することが必要だ。この考え方は、マーケティングの考え方そのものでもある。

 このようにして、「お客様に喜んでいただく」状態をつくり出していく。「お客様が買う理由」をつくり出し、マーケティングを実践することで、次第に「仕事=やりたいこと」になっていくのだ。

 しかし、なかにはこう思う人もいるかもしれない。

「私の仕事は内勤だ。外部のお客様に接することがない。だから自分の場合は、そもそも『お客様に喜んでいただく』状態などつくれない」

 実は、内勤の仕事でもまったく同じことだ。たとえ社内向けの仕事であっても、自分の仕事で価値を提供する相手がいれば、それがお客様だからだ。

「目の前のお客様」は必ずいる

 
 たとえば私は前職の日本IBM社員だった最後の2年間、事業部の人材育成を担当していた。「目の前のお客様=事業部の社員」だった。それまでマーケティング戦略を15年間担当した後だったので、人材育成の仕事はまったくの畑違いの仕事。率直に言って当初は必ずしも「人材育成=心からやりたい仕事」とは言えなかったし、慣れない仕事で最初はなかなかうまくいかなかった。

 しかし、事業部社員のスキル上の課題や悩みを理解し、社員のスキル向上に役立つ人材育成プログラムを企画して実施し、次第に社員から「自分のスキル向上に役立った」「こんな研修を受けたかった」と喜ぶ声を聞くようになったことで、「人材育成=心からやりたい仕事」になった。なかには「人材育成は永井さんの天職だ」という人まで現れるようになった。

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

 マーケティング戦略アドバイザー。1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトウェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立。マーケティング思考を日本に根付かせることを目的に、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えることをモットーとし、幅広い企業や団体へ年間数十件の講演やワークショップ研修を実施。さらに書籍・雑誌の執筆、メディア出演などで、より多くの人たちにマーケティングの面白さを伝え続けている。主な著書に、シリーズ累計60万部を突破した『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ(全3巻、コミック版全3巻、図解版、文庫版)、『そうだ、星を売ろう』、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』、『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』(以上KADOKAWA)、『「戦略力」が身につく方法』(PHPビジネス新書)がある。最新著は『これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング』(SB新書)

・問い合わせ先:永井孝尚オフィシャルサイト

Twitter:@takahisanagai

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