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太陽光発電、早くもブーム去り倒産ラッシュ…瀕死状態で「不況業種」入りの兆候

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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「グリーン新電力」という一縷の望みも断たれて

 しかし、太陽光発電がキラキラ輝いていた時代は、アッと言う間に過ぎ去ってしまった。
 
 太陽光発電は、燃料のようなランニングコストは安くてもパネルや設置工事など初期投資(イニシャルコスト)の負担が重く、当初は出力あたりの発電コストがどうしても高くなる。それを補う意味もあり、FIT制度では太陽光パネルで発電した電力を電力会社が買い取る買取価格を、初年度の12年度は1kW/時あたりメガソーラーなど企業向が40円、家庭向(10kW未満)が42円と、高めに設定していた。

 これは新規参入企業をさらに呼び込んだが、発電コストがアップする電力会社は不満だった。14年には九州電力が太陽光発電の電気の新規買入を拒否するという出来事が起きている。九州電力は15年に川内原発を再稼働させたが、原子力発電の発電コストを1kW/時あたり8.9円と試算した政府の「コスト等検証委員会報告書」(11年)の数値を、ホームページに載せている。

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 経済産業省が決めるFITの買取価格は初年度こそ高かったが、あとは年々引き下げられていき、5年目の16年度は企業向けは24円で初年度よりも40%減、家庭向け(出力制御対応機器設置義務あり/ダブル発電を除く)は33円で初年度よりも21.4%減と、大きく減らされてしまった。この買取価格低下が太陽光発電に関わる企業の採算を悪化させている。太陽電池総出荷量も15年度は795万kWで前年比19.4%減。太陽光発電の右肩上がりの成長も終わりを告げた。

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 それでも太陽光発電の業界サイドでは、今年4月の「電力小売自由化」への期待が少なからずあった。電気の調達先を太陽光、風力、バイオマス、小規模水力など再生可能エネルギーの発電方式に限定し、「グリーンな電気」をアピールする「グリーン新電力」が名乗りをあげて、電気料金は多少高くても「原発は絶対イヤ。化石燃料を燃やして二酸化炭素(CO2)を排出し地球温暖化の原因になる火力発電もイヤ」というエコ意識が高い消費者の間で一定の支持を得るのではないかと思われていた。そんな新電力が順調に滑り出せば将来、FIT制度に頼らなくても、グリーン新電力主体の「太陽光発電の復権」が見えてくるのではないか、という読みがあった。

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