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イオン、危機的状況の兆候…赤字垂れ流しのスーパー、有利子負債2兆円で巨額利子支払い

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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イオン、危機的状況の兆候…赤字垂れ流しのスーパー、有利子負債2兆円で巨額利子支払いの画像1イオンの店舗(「Wikipedia」より/アレックス)

 イオンの2017年2月期第1四半期(3~5月)の決算は、売上高2兆461億円(前年同期比1.3%増)、営業利益は328億円(同5.8%減)、最終損益は62億円の赤字(前年同期は50億円の黒字)となりました。

 総合スーパー事業(GMS)の不振が大きく影響しています。イオンのGMSの赤字は、ダイエーの完全子会社化が大きく影響していると考えられます。イオンは15年1月1日にダイエーを完全子会社化しました。ダイエーの連結当期純損益(通期)は、09年2月期から14年まで6期連続で赤字でした。14年には243億円もの赤字となっています。

 イオンは、なぜ赤字を垂れ流していたダイエーを子会社化したのでしょうか。

 ひとつには、イオングループとのシナジー効果とテコ入れにより、長期的には黒字転換できるという計算があったと思われます。確かに、ダイエーの強みである「食品」に経営資源を集中させることで、黒字化の可能性もあります。

 ダイエーは15年6月20日に、食品分野に特化した新業態スーパー「フードスタイルストア」を東京・赤羽にオープンしました。ダイエー赤羽店を改装してのオープンです。今後はさらに、ダイエーのフードスタイルストアへの業態転換を進めていくものと思われます。

ダイエー子会社化のもうひとつの理由

 イオンがダイエーを子会社化した理由は、もうひとつ考えられます。実は、イオンの営業利益を一番稼ぎ出している事業は、GMSでもスーパーマーケット事業(SM)でも、ディスカウントストア事業(DS)でもありません。

 売上高は、GMS、SM、DSを合わせるとイオン全体の約7割に上ります。しかし、これらで営業利益はほとんど稼ぎ出すことができていません。GMSは16年3~5月期において93億円の営業赤字(前年同期は47億円の赤字)を計上しています。SM・DSは16年2月期において55億円の営業赤字を計上しています。イオンはGMS、SM、DSだけでは十分な営業利益を稼ぐことができないという実態があります。

 イオンにおける営業利益の稼ぎ頭は「総合金融事業」です。総合金融事業は、「イオンカード」によるクレジットカード事業、「イオン銀行」による銀行業、電子マネー「WAON」による電子マネー事業などで構成されています。総合金融事業の16年2月期における売上高の構成比は4%程度にすぎません。しかし、営業利益の構成比は31.1%(550億円)にもなります。

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