ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 日本の保健医療支出、先進国中2位  > 2ページ目
NEW
小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

日本の保健医療支出、3年連続で先進国中2位の高さ…厚労省の「低水準」との前提崩壊

文=小黒一正/法政大学経済学部教授

 その際、日本の介護保険にかかる費用では、旧基準では含まれなかった38サービス(例:「通所介護」「訪問入浴介護」「認知症向けの生活介護」等)が含まれることになり、それが15年の比較で日本の順位が急上昇した大きな要因である。

 新基準に基づく公表は今回が初めてで、日本を含む各国の医療・介護制度は極めて複雑かつ多様であり、新基準で加算するべき他の国の介護関係コスト等に見落としがあれば、今後順位が変わる可能性も十分にあり得る。

 このため、各国の数値は慎重に評価する必要があるが、今後、日本の保健医療支出(対GDP)が上位を占める場合、財政赤字が恒常化して債務残高(対GDP)が200%を超えるなか、社会保障の給付と負担のバランスのあり方を含め、それは我々に重い宿題を突きつけることになるはずだ。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)

小黒一正/法政大学教授

小黒一正/法政大学教授

法政大学経済学部教授。1974年生まれ。


京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。


1997年 大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー。会計検査院特別調査職。日本財政学会理事、鹿島平和研究所理事、新時代戦略研究所理事、キャノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。


Kazumasa Oguro's Home page

Twitter:@DeficitGamble

日本の保健医療支出、3年連続で先進国中2位の高さ…厚労省の「低水準」との前提崩壊のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!