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垣田達哉「もうダマされない」

水素水は「ただの水」?がん予防もダイエット効果もなし!不当表示で国が異例の警告

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
水素水は「ただの水」?がん予防もダイエット効果もなし!不当表示で国が異例の警告の画像1「Thinkstock」より

 今月3日、やっと消費者庁が水素水の不当表示を摘発した。水素水関連商品を販売していた3社に対し、「あたかも、本件商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、著しい痩身効果が得られるかのような表示をしていた」ことが、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、再発防止と消費者への周知を求める措置命令を出したのだ。

 水素水関連商品に関しては、消費者庁所管の国民生活センターが昨年3月、活性酸素の一種を抑制する水をつくるとうたった装置を調査した結果、「飲用による効果を表したものではない」と発表している。同6月には、厚生労働省所管の国立研究開発法人、医療基盤・健康・栄養研究所が「『活性酸素を除去する』『がんを予防する』『ダイエット効果がある』などと言われているが、ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない」と公表している。

 1年以上前から、国の独立法人が「水素水に効果はない」としているのに、そのことが消費者には浸透せず水素ブームは加熱していた。それに業を煮やした国民生活センターは昨年12月、容器入り水素水や、生成器でつくって飲む水素水の調査を実施し、「水素水には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です」という見解を発表した。

 その報告書のなかで、消費者には「効果効能をうたっているものは法律に抵触している場合がある」と注意を促し、事業者には「飲用により健康保持増進効果等があると受け取られる記載があり、法律に抵触するおそれがあるので表示を改善するように」と要望している。

 さらに行政(消費者庁と厚労省)には、「販売元等のホームページや直販サイト、商品のパッケージに、飲用により健康保持増進効果等があると受け取られる記載があった。医薬品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵触するおそれがあるので、事業者に対し、表示の改善を指導するよう要望する」とまで言い切っている。

 消費者庁は、調査に時間がかかるので時間稼ぎのために、国民生活センターにまず警告を出させたのだろうが、それにしても、問題が顕著になってから1年もかかって行政処分をするのはあまりにも遅すぎる。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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