回転ずしチェーン最大手「スシロー」の既存店で、業績が悪化している。
2017年9月期のスシロー既存店の売上高は、前年比1.3%減となった。客数が1.3%減少し、客単価は前年とほぼ同じだったことで売上高が減少した。既存店では客離れが発生し、業績が悪化している状況にある。
スシローにおける既存店とは、開店から15カ月以上が経過した店舗のことをいう。その期間が経過していない“新店”は対象外となる。新店と既存店を合わせた全店の売上高でいえば、前年比で6.1%増加している。
全店の売上高が伸びているため、スシロー全体では問題ないようにも思える。しかし、出店すれば売上高が増えるのは当たり前で、1店1店の強さを判断する材料にはならない。それは既存店の売り上げで見ることになる。既存店の売上高が増えなければ、新規出店が頭打ちになればジリ貧になることが目に見えている。そのため、既存店の売上高が前年割れを起こしているのは、大きな問題といえる。
実は、スシローだけではなく、大手回転ずしチェーンの多くは既存店ベースで業績が悪化している。
「無添くら寿司」は16年11月〜17年9月の11カ月のうち8カ月で既存店売上高が前年割れしている。それまでは好調で、16年10月期までの3期すべての期で前年を上回っていた。しかし、それ以降は既存店において客離れが起き、17年10月期は前年を下回って終着する可能性が非常に高い状況だ。客離れが起きた理由については、後述する。
「かっぱ寿司」も既存店の業績が悪化している。17年4〜9月期の既存店売上高は前年同期を下回り、17年3月期までの3期で前年割れを起こしている。客単価は上向いているものの、客数の減少が止まらないため、売上高が依然として前年割れしている状況だ。かっぱ寿司に染みついた「安かろう悪かろう」という印象が拭えきれていないためだと思われる。
大手の回転ずしチェーンは、「1皿100円」といった低価格を武器に勢力を拡大し、気軽に寿司を食べられることを掲げて市民権を得てきた。しかし、一方で「安かろう悪かろう」というイメージも付いて回るようになり、そのために回転ずしを避ける人も増えていった。