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延々と内部抗争を続ける出光を、投資家が見限り始めた

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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今後も続く創業家と経営陣の対立

 
 12月に入ってから、出光の創業家は株式を買い増した。今後も創業家は影響力を回復するために同社株を追加的に買い増す可能性がある。

 これまでの展開を基にすれば、経営陣は公募増資を行い、創業家の持ち分比率を引き下げようとする可能性がある。対立の溝は深く、そう簡単に事態が収拾に向かうことは想定しづらい。株主価値の希薄化懸念が高まり、同社の株価が下落基調で推移することも考えられる。少なくとも、創業家が株を買い増している間、市場参加者はそうしたリスクを意識せざるを得ないはずだ。

 経営陣として、その展開は避けなければならない。創業家も株主だ。排除する手段をとることは市場からの失望を買う恐れがある。公募増資で創業家の買い増しに対応するのではなく、是々非々の姿勢を貫いて、成長のために必要な戦略をより説得力あるかたちでステークホルダーに提示するべきだ。コーポレートガバナンスを強化し、株主価値の増大を実現するための経営体制が整備されていることを投資家に示すことも欠かせない。長期的に考えれば、創業者の主張で出光の持続性が高まるとは考えづらい。その点をいかに明確にできるかが、経営陣の課題だ。

 出光の経営混乱は、わが国の企業にとって他山の石ではない。17年、東芝の巨額損失をはじめ、経営陣の対立や、データ改ざんなどの不祥事が相次いだ。こうした問題は、企業の意思決定が一部の人間によって、必要以上に影響されてきたことの裏返しである。

 今後も不祥事や経営混乱などが続くのであれば、そうした企業は市場からの評価を失い、長期的には淘汰される可能性が高まる。そうしたリスクを念頭に、各企業はガバナンスの強化に努め、成長戦略の立案と執行に取り組む必要がある。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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