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三木谷氏は、こうした市場の厳しい反応は織り込み済みなのだろう。かつてクレジットカード事業に参入したとき、アナリストたちは「EC(電子商取引)と金融の相乗効果がわからない」と厳しい評価を下した。だが、楽天カードは、いまや楽天のドル箱に育った。三木谷氏には、「10年先を見据えて投資するのが事業家だ」との自負がある。アナリストたちがなんと言おうと、我が道を進むつもりなのだ。
NTTドコモとの“友好関係”を前提とした参入計画
楽天の携帯電話参入計画は最初から躓いた。最大の誤算は、電波監理審議会が認可に当たり異例の注文をつけたことだ。「携帯電話事業者は自らネットワークを構築して事業展開を図るという原則に留意すること」という文言である。
至極当たり前の注文だが、楽天には大誤算である。楽天はアンテナや基地局など、自社で整備できない地域ではNTTドコモの回線を共有することを前提に、携帯電話事業の参入計画を立てていたが、それが封じられた格好だ。
楽天は通信インフラの整備費用として25年までに6000億円を投じるとしている。一方、NTTドコモは17年度におよそ6000億円を計上した。楽天の7年分の投資総額とドコモの1年度分の投資額が同じということだ。そのため、「楽天の経費の算出は、どう考えても過少。机上の空論ではないのか」(関係者)との厳しい見方が出ている。
ここまで、楽天とドコモは友好関係にあった。
12年10月、ソフトバンクがイー・アクセスを買収した。これで4社体制だった通信業界は3社に減り、料金プランは横並びとなった。料金値下げを求めた総務省は、MVNO(仮想移動体通信事業者)による格安スマホのシェア拡大に舵を切る。
MVNOとは、他社から携帯電話回線などの通信インフラを借り受け、独自のサービスを加えて低料金で事業を展開する通信業者のことだ。楽天は14年に格安スマホ事業に参入し、ドコモから回線を借りて通信サービスを提供してきた。
楽天は第4の携帯電話事業に参入するに当たり、ドコモとの友好関係を維持できると考えていた。自社で設備できない地域でドコモの回線を共用すれば、設備投資を抑えることができるとソロバンを弾いた。
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