ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal

車の自動化、社会のIoT(モノのインターネット)化などを背景に半導体投資が活発化しており、電機業界は総じて好景気といわれる。実際に業界では最高業績を更新しているところも少なくない。しかし、そうしたなかにあって、業績悪化が続く企業もある。特に足元業績が赤字に転落するという企業さえある。赤字企業には個別の問題を抱えるケースもあるが、業界として忍び寄っている不景気の影が垣間見えるケースもある。
今回は好景気のなかで、2018年3月期を中心に直近決算の業績が赤字転落あるいは赤字継続となっている企業をピックアップした。決算確定前の企業については見込みの数字を挙げた。
中国市場における生産調整の影響
また、販売製品の不具合により、製品補償費用2億3,000万円を特別損失で計上することも響く。ただ特別損益としては、保有株式の一部を拠出して退職給付信託を設定し、退職給付信託設定益2億4,800万円を特別利益として計上するため、ほぼ相殺される。いずれにしても中国市場などでのスマホ生産調整の影響が直撃している。
大真空と同様に水晶デバイスを手がける日本電波工業の18年3月期も大幅赤字となる。期初には増収増益を予想してスタートしたが、移動体通信市場の減速により売上高が予想を下回るのに加え、スマホ向けのTCXO(温度補償水晶発振器)およびSAW(弾性表面波)デバイスの生産設備について、65億円の減損損失を計上することなどが利益を圧迫する。
また製品在庫についても、TCXOなどを中心に販売の可能性を検討した結果、棚卸評価損7億円を計上することになり、これも響く。ちなみに業績悪化の責任をとり、社長が50%の役員報酬を減額するほか、副社長も40%、ほかの役員も15~35%の減額を実施するなど、役員報酬カットを本年度前半6カ月間実施する。