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有馬賢治「今さら聞けないマーケティング 基礎の基礎講座」

バーバリー、年間42億円分におよぶ自社商品廃棄の「本当の理由」

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
バーバリー、年間42億円分におよぶ自社商品廃棄の「本当の理由」の画像1「Gettyimages」より

「日本企業には優れた技術があるが、マーケティングのノウハウがないために海外企業に負けてしまう」という解説がよく聞かれ、書店にはマーケティングに関する書籍があふれている。マーケティングの基礎の基礎として、前回はブランドの資産価値、いわゆる「ブランド・エクイティ」について解説したが、今回はそのブランドイメージを維持することの難しさについて、立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に話を聞く。

【前回記事】
『トヨタ「クラウン」、60年以上も高い人気を維持し続けている理由』

安売りするくらいなら捨てたほうがマシ

――前回までのおさらいとして、改めてブランドの役割について教えてください。

有馬賢治氏(以下、有馬) 消費者に対するブランドの主な役割は、端的には製品識別と安心感を与えることにあります。これによって、消費者は製造元が明確に分かるので、探索にかける時間を減らすことができるようになります。また、責任の所在が明確になることで、購買を失敗するリスクも削減できるというわけです。

――最近よく聞く「ハイブランド」のように、消費者に社会的に高いイメージが付与できると、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

有馬 まず、消費者は所有による心理的な満足感を得ることができます。また、ハイブランドというイメージは、高品質のシグナルにもなっていますので、それを選んだ自分のイメージをアップさせる効果も期待できます。ブランドイメージが消費者の自己イメージを投影できるシンボリックな装置にまで成長しますと、リピート購買が期待できる他ブランドと心理的差別化が図れる手段となるわけです。

――ブランドを良いイメージで維持できれば、中長期間のリピート購買にもつながると。

有馬 はい。しかし、顧客の評価は移ろいやすく、企業は顧客が期待するブランドイメージを維持するために苦労しています。イギリスの高級ブランド、バーバリーが、衣類やアクセサリーなど約42億円相当の売れ残り商品を廃棄していたことが明らかになりました。これについて批判されていることは承知していますが、それはひとまず置いておいて、その意味をブランドイメージから説明したいと思います。バーバリーは、なぜセール販売などで売上げを得ることをしなかったのでしょうか。それは、安売りをすることで生じるブランドイメージの低下を強く警戒していたからだと説明できます。

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