9月19日、アマゾンジャパンが目黒の新オフィスを報道関係者に公開した。その中身は世界最先端のグローバルIT企業にふさわしく、多様なワークスタイルに対応した仕掛けが満載されている。
その一方で、これまで秘密主義を貫いてきたアマゾンがオフィスを公開したこと自体もサプライズといえる。いったいアマゾンの狙いはどこにあるのか。
「熱帯雨林」を採り入れ、多様なワークスタイルに対応
これまでアマゾンの日本法人は、目黒雅叙園の敷地内にあるアルコタワーに拠点を置いていた。この旧オフィスはそのままに、新オフィスを目黒駅前の目黒セントラルスクエアに設置。このオフィス拡張に合わせて技術職など1000人を新たに雇用する計画だ。
ビル自体は一般的な長方形のフロアだが、内装には流線形を採り入れており、堅苦しい印象はない。ソファやファミレスのような座席も多く、自宅にいるようにくつろげる空間を演出している。アマゾンの分析によれば、こうした空間が生産性を最大化するのだという。
オフィス内に目立つのが植物だ。2018年1月には米シアトルのアマゾン本社にも、熱帯雨林のように多彩な植物を採り入れた新社屋「The Spheres」がオープンした。同様に日本のオフィスにも600種類の植物を配置したという。
フリーアドレスの座席にはモニターが置かれており、ノートPCをつなぐことで広い画面で仕事の効率を上げている。面倒なのはケーブルやアダプタの管理だが、アマゾンはこれらの備品を自販機に常備しており、セルフで借りられる仕組みを採用する。海外から出張してきた社員も即座に仕事ができるというわけだ。
秘密主義を脱したオープン化が狙いか
アマゾンの新オフィスには先進的な取り組みが多いとはいえ、他のIT企業と比べて大きな差はない。茶道やヨガなど社員の活動を支援する設備や、仮眠やマッサージの部屋も用意されており、日本の大企業より人間的な面もある。カフェテリアのメニューも、我々が日常的に食べているものと違いはない。
実のところ、アマゾンが見せてくれるのはパブリックな空間くらいだろうと筆者は予想していた。だが当日は実際に社員が勤務するフロアも公開され、自由に撮影することができた。これはアマゾンとしては異例の大盤振る舞いといえる。