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フジ肝いりの『SUITS』が視聴率1桁台に転落…織田裕二&鈴木保奈美、人気の陰り露呈

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 織田裕二が主演を務める連続テレビドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)の第6話が12日に放送され、平均視聴率は前回から2.3ポイント減の9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。1桁台を記録したのは、第4話(8.9%)に続いて2度目となる。

 この作品は、勝つためには手段を選ばない敏腕弁護士・甲斐正午(織田)と、驚異的な記憶力を持つが弁護士資格を持たない鈴木大貴/大輔(中島裕翔)がバディを組み、数々の案件を解決していく弁護士ドラマ。第6話は、資産家からの依頼を受けた甲斐による資金回収の案件と、鈴木が請け負ったリゾート開発会社の案件が同時に進行した。

 2つの案件の詳細な内容は、ドラマ全体を通したストーリーにおいて、それほど意味はないと思われるので省略する。ただ、ドラマの構成として注目すべき要素は2つあった。ひとつは、これまで反目しあっていた甲斐と蟹江貢(小手伸也)が初めてコンビを組んで事件を解決したこと。もうひとつは、ハッカーがハーバード大学のデータベースを改ざんしたことにより、鈴木の経歴詐称がバレにくくなったことだ。

 同じ弁護士事務所に籍を置きながら、良きライバルというより互いに反目し合う関係だった甲斐と蟹江が不本意ながらも協力し合い、最後には違いの力量を認める――という筋立ては、連続ドラマの中盤におけるターニングポイントとしては良かったと思う。前半では余計なことばかりしてひたすら無能ぶりをさらした蟹江が、後半では一転して有能な一面を見せ付けて挽回する構成も、スカッと系のドラマっぽくて楽しかった。

 それだけに、誤解が元で再び2人が反目し合う結末はあまりいただけなかったし、「脚本家はいったい蟹江をどうしたいのだろうか」と疑問に感じてしまった。第5話までの蟹江はひたすら気持ち悪いキャラクターとして描かれ、卑猥と思われる言動もしばしば見られた。このため、視聴者も蟹江を「甲斐を引き立たせるためのやられ役」「お笑いキャラ」として認識していた。それがいきなり第6話では有能キャラに転じたのだ。

 失敗ばかりしているように見えて実は有能だった、というサプライズをやりたかったのはわかる。だが、それは蟹江を「ダメキャラ」に設定しておけばよかっただけの話である。何も、執拗に「キモキャラ」として描く必要はなかったはずだ。人物設定を根本から間違っていたのではないかと言わざるを得ないし、ちょっとおかしい同性愛者像を作り上げて笑いの対象にしようとの意図さえ透けて見える。これにはあまり賛成できない。

 第6話でもうひとつ注目すべき点は、佐久間由衣演じるハッカーのおかげで鈴木の経歴詐称が隠蔽できたという展開だ。彼女はハーバード大学のデータベースに侵入して「鈴木大輔」の写真を中島演じる鈴木大貴のそれに変え、経歴詐称の隠蔽に加担した。甲斐も彼女を利用し、企業がだまし取った20億円もの資金を全額回収することに成功した。

 鮮やかといえば鮮やかなのだが、もはや弁護士ドラマではない気がしてならない。視聴者が弁護士ドラマに期待するのは、法律を駆使して勝つ姿であって、あからさまな犯罪に手を染めて勝つ姿ではないからだ。もちろん、かつての『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)や今期放送されている『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)のように、ギリギリの汚い手を使って勝つことで留飲を下げるドラマもある。

 だが、ハッカーはナシだと思う。ハッカーが登場した時点で何でもありの無敵になってしまうし、弁護士が主役である必要性がなくなってしまうからだ。ハッカー役の佐久間由衣にあまりにもやる気が感じられず、最初から最後までひどい棒演技だったのも「ハッカーなんていらないのに」という思いに拍車をかけた。前クールの『チアダン』(TBS系)の時は生き生きとしていたのに、なぜ今回はこんなにも投げやりな演技しかできなかったのか不思議でならない。今回限りの登場である可能性が高いことだけが救いだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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