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スーツ大手3社が赤字転落で壊滅状態に…AOKI、漫画喫茶などカフェ事業拡大で生き残り図る

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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スーツ大手3社が赤字転落で壊滅状態に…AOKI、漫画喫茶などカフェ事業拡大で生き残り図るの画像1AOKIの店舗(「Wikipedia」より)

 青山商事AOKIホールディングス、コナカの紳士服大手3社の業績が深刻だ。決算期間が異なるが、11月に3社が発表した直近の決算は、3社とも減収、最終赤字だった。

 業界最大手の青山商事が11月9日に発表した2018年4~9月期連結決算は、売上高が前年同期比3.0%減の1051億円、最終損益は1億円の赤字(前年同期は19億円の黒字)だった。

 業界2位のAOKIが11月8日に発表した18年4〜9月期連結決算は、売上高が前年同期比2.1%減の839億円、最終損益は10億円の赤字(前年同期は1億円の黒字)だった。

 業界3位のコナカが11月9日に発表した18年9月期連結決算は、売上高が前期比4.4%減の651億円、最終損益が4億円の赤字(前年同期は9億円の黒字)だった。

 労働人口の減少やファッションのカジュアル化などが影響し、スーツ需要の減少が続いているが、このことが決算に如実に表れた格好となった。なお、スーツに対する家計の支出は減っており、総務省の家計調査によると、08年に6807円あった1世帯当たりの背広服への年間支出額は、17年には08年の7割弱の水準となる4676円まで減った。00年の8782円と比べると半額近くまで減っている。

 需要が減っていることに加え、競争が激化したことも影響している。イオンやイトーヨーカ堂、ユニクロなどが低価格スーツの販売を強化しており、小売り各社が、小さくなっているパイを奪い合っている状況だ。

 スーツ市場は縮小が続いているが、そうしたなかでもオーダースーツ市場は活況を呈している。カジュアル化が進むなかでも、勝負スーツを1着は持っておきたいというニーズが高まっており、それにオーダースーツが応えているかたちとなっている。近年、紳士服大手3社は、この市場に活路を見いだそうとしている。

 青山商事は16年2月にオーダースーツ店「ユニバーサル ランゲージ メジャーズ」の展開を始めた。AOKIは同年10月に「ディファレンス」を始め、店舗数を増やして需要の取り込みを図っている。コナカも16年から一部の店舗で試験的にオーダースーツの販売を始めていたが、今年10月からは全店での販売を開始した。

 ただ、大手3社のオーダースーツ事業の業績への影響は、まだまだ限定的だ。コナカのディファレンスは急成長しており、現在約50店を展開するまで成長したが、ファッション事業の全店舗数に占める割合は1割にとどまる。青山商事のメジャーズの現在の店舗数はわずか5店にすぎない。AOKIは本格展開が今年10月とあって、業績への貢献はこれからだ。

 一方で、異業種が相次いでオーダースーツ市場へ参入しており、紳士服専門店の脅威となっている。衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOが7月からオーダースーツの予約を始めて話題となったが、ほかにもアパレル大手のオンワードホールディングス子会社が17年10月にオーダースーツ店「カシヤマ ザ・スマートテーラー」の展開を始めたり、大手商社の伊藤忠商事が同年12月に全国のテーラーと提携した高級オーダーメードスーツ事業に参入するなど、競争業者が増えている。

 また、アパレル大手の三陽商会が傘下のブランド「ポール・スチュアート」の一部店舗で行っていた婦人スーツのパターンオーダーを今年8月から広げ、婦人服を扱う全店(約40店)で取り扱うようにするなど、既存の事業者も軒並みオーダースーツに力を入れ始めている。オーダースーツ市場でも新旧織り交ぜた競争が発生しており、紳士服専門店といえども競争を勝ち抜くことは簡単ではないだろう。

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