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三菱地所、三井不動産の聖域“侵略”で戦争突入…三菱財閥、序列に下剋上か

文=小川裕夫/フリーランスライター
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三菱地所、三井不動産の聖域“侵略”で戦争突入…三菱財閥、序列に下剋上かの画像1丸の内ビルディング(「Wikipedia」より/Gleam)

 このところ、天下の三菱グループを支える御三家の苦戦が続いている。特に、三菱重工業の不振は際立っているが、三菱UFJ銀行もパっとしない。銀行業界の盟主として君臨してきた同行は業界全体がゼロ金利政策で喘いでいるために、必然的に苦しい状況下にある。ゼロ金利政策によって、銀行業界全体が融資で利益を出すことが難しくなっている。

 唯一、御三家で元気がいいのは三菱商事だが、それを凌ぐ勢いを見せているのが三菱地所だ。三菱地所は三菱グループのなかでは御三家に大きく水をあけられており、グループ内での発言力は段違いだった。

 そもそも、三菱地所は経済界・不動産業界から“丸の内の大家さん”と形容されるように、東京・千代田区の丸の内一帯に広大な不動産を有している。その不動産経営だけで十分に利益をあげることができる。そのため、三菱地所の経営は常に守りの姿勢が強かった。

 東京駅の反対側に位置する三井不動産は、三菱のライバルでもある三井グループに列する企業。しかも、三井不動産は三井グループの番頭格でもある。

 三菱と三井という違いはあるものの、両社のポテンシャルは絶大。そのため、東京駅が境界線となり、三菱地所と三井不動産は互いの“領土”を侵攻しないことが暗黙の了解だった。三菱というブランドがあっても、三菱地所にとって三井不動産は強敵。下手に日本橋側に進出して、三井不動産の逆鱗にでも触れたら一大事だ。三菱地所と三井不動産の関係は、たとえるなら冷戦と同じ。それでも、表向きでは共存共栄を図ってきた。

 しかし、三菱御三家不調に陥ると三菱地所への期待が強まる。三菱地所は各地で不動産開発を活発化させることになり、丸の内から“丸の外”へと勢力圏の拡大を図った。そして、ついに三菱地所は三井の牙城でもある日本橋エリアへと侵攻を開始。それが、千代田区大手町2丁目と中央区八重洲1丁目にまたがる「東京駅前常盤橋プロジェクト」だ。

 同プロジェクトは、三井の牙城でもある日本橋エリア圏内だ。三菱地所が殴り込みをかけたのだから、三井不動産の心境が穏やかなはずがない。業界関係者は言う。

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