ギャルモデル・伊藤桃々(もも)は、この春高校を卒業したばかりの18歳だ。5月に復活するギャル雑誌「egg」(発行はMRA、ウェブ版が先行して2018年に復活)の専属モデルも務めており、JKに大人気の恋愛リアリティ番組『オオカミくんには騙されない』(AbemaTV)への出演で人気が全国区に。最近は“白ギャルモデル”としてテレビ出演も増え、ポスト・藤田ニコル、みちょぱ(池田美優)と目されている存在だ。
かように、今最も勢いに乗っているギャルといえる彼女。しかし、ギャルだけに勢いだけでここまで来たと思ったら大間違い。生き馬の目を抜く芸能界でのし上がるため、おのれを常に客観視し、かなり綿密な計算のもとに芸能活動を展開しているのだという。そこでビジネスジャーナルは、そんな彼女に、18歳の“仕事論”を聞いてみた。
伊藤桃々(いとう・もも)
2000年12月16日、静岡県生まれ。2018年、ウェブ版「egg」のモデルとしてデビュー。若年層に大人気のリアリティ恋愛番組『太陽とオオカミくんには騙されない♥』(AbemaTV)シーズン4に出演。Instagramフォロワー約30万、TikTokのフォロワー約44万を誇る。趣味はメイク、アニメ。中学校時の部活はバスケ部。
努力した人だけが一番になれる
今や“ギャル”が仕事になっている伊藤桃々だが、キャリアのスタートはスカウトマンに声をかけられて、モデルの世界に入ったことから。2018年にスタートした「egg」WEB版のオーディションも、最初は“ノリ”で受けたという。
「『egg』の雑誌版は中学生の時に休刊していたので、“ガングロギャル”とかで有名な頃の『egg』のことはあまり知らなかったけど、ノリでオーディションを受けたら通りました(笑)」
なんともギャルらしい動機である。そんな風に“ノリ”で入ったモデルの世界。しかしながら、当初は周囲のモデルたちに引け目を感じていたとのこと。
「当時は静岡に住んでいるただの高校生だったんです。だから何もわからなくて。私以外はみんな都内のオシャレな子で、オーラが全然違うんです。メイクも上手だし服の着こなしだって全然違う。他の子との差を感じすぎてつらくてへこんで、“どうしたらいいんだろう”“早く追いつかなきゃ”って毎日悩んでいましたね」
ひとり、仕事のある週末にだけ東京に通う日々。普通であれば、ここで心が折れてしまったとしてもおかしくはないだろう。しかし彼女はめげずに、周囲のモデル仲間の買い物に同行して着こなしを参考にしたり、109ブランドの研究、海外ブランドのInstagramを見て勉強するなどの努力を重ね、現在では人気モデルとなった。そのモチベーションはどこから生まれたのだろうか?
「一番じゃないと嫌だったというか。もちろん初めは下っ端なのはしょうがないんですけど、努力した人が最終的に一番になれると思っているので、最後には一番になりたかった。モデルを始める時も、地元の静岡に帰ったときに知り合いから『うわ〜モデルだ〜』とかって冷やかされたのが内心悔しくて、“一番のモデルになってやろう”って思ったんです」
バイト先でPOP制作、そして賃上げ交渉
もともと負けず嫌いで仕事好きという彼女。実はモデルになる前から、そのバイタリティを発揮していたという。
「興味のあることしかできないので、勉強は全然だったんですけど、将来は仕事で稼ぐ人間になりたかった。イイ大学出ても仕事が上手くいかない人もいるじゃないですか。じゃあその逆で勉強できなくても、社会で上手くやっていくこともできるだろうと、高校生になってすぐにラーメン屋でアルバイトを始めました。大人と仕事をすることで社会のことがわかってきたし、仕事はがんばった分だけ結果が出るし、やるんだったら一番仕事できるようになりたいと思って働いてました。時給も交渉して上げてもらいましたし」
そのラーメン屋で彼女は、おそらくは自分の中に眠っていたのであろう戦略的な行動力、プロデュース力を開花させていく。接客から配膳、厨房での作業、美術だけは得意だったこともありPOP制作までこなし、ときには店長にまで指示出しをしていたという。その結果、そのラーメン屋の全チェーン店で行われる販売コンテストで、勤務する店舗を優勝に導いてみせる。仕事で成果を出し、自分の権利として賃上げもキッチリ主張する。大人顔負けの実行力、そして交渉力である。
「店長に、“私はこれだけラーメンを売って、注文を聞くときだって普通の聞き方じゃなくて単価上げるためにお客さんに絶対にトッピング勧めたりしてるし、お客さんの回転率も良くして売り上げも良くなってるし、全ポジションできて、みんなに指示を出して動かして、他の支店にヘルプに出たりもしているのに、なんでみんなと同じ給料なんですか?”って言いました(笑)。一方で、大人の中にも嘘ついたりとかサボったりとか、あんまりちゃんとしてない人もいるんだなあって、社会を学びましたね」
みんなを動かす人になりたい
ギャルらしからぬ……いや、ギャルならではのコミュニケーションスキルをフル活用し、アルバイトでも結果を出し、仕事の山が高いほど燃えると語る彼女。今は、テレビの世界で結果を残すことが目標だという。
「まだまだだと思っています。テレビは出始めたばかりなので、今が一番楽しいですね。“どうやって頑張ろうかな?”って悩んでいるのが楽しいんですよ。みちょぱ(池田美優)さんやゆきぽよ(木村有希)さんみたいに、テレビの世界でもっと定着したいです。にこるん(藤田ニコル)さんみたいに、“テレビつけたらいつもいるな”って思われる存在になりたい。そして最終的には、自分プロデュースのコスメブランドやエステ、マツエク施設も作りたいんです。みんなを動かす人になりたい! でもそのためには知名度が必要だから、とりあえずは今の仕事を頑張りたいですね」
ビジネスマン、実業家さながらに、10年後を見据えつつ、そこにたどり着くためのものとして目の前の仕事に意味づけしていく彼女。なんと最近、「転職したい」とずっと悩んでいたという母に、資格スクールへ通う費用を援助したという親孝行な一面も併せ持つ。
最後に、仕事に悩む大人たちへ、背中を押してもらえるようなメッセージをひとつ。
「人生って半分以上は仕事なんだから、仕事が楽しくないと意味ないですよね。サラリーマンの人はどうしても指示されることが多いかもしれないけど、それだけって悔しくない? 自分から仕事を頑張ったほうが楽しいと思います」
【後編】ではそんな彼女に、ファンに喜んでもらうための“こだわりのSNS術”を聞いていく。
(構成=藤谷千明)