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『いだてん』第1部最終回に大絶賛…「半年間見続けた人へのご褒美」「クドカンはすごい」

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 中村勘九郎が主演を務めるNHK大河ドラマ『いだてん』の第1部最終話となる第24話が23日に放送され、平均視聴率は前回から0.9ポイント増の7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。ドラマタイトルやドラマの構造そのものを伏線として回収した展開に、視聴者から絶賛の声が集まっている。

 第24話は、前回で描かれた関東大震災からの復興を描いた。というより、人々の「心の復興」を描いた。東京でのオリンピック開催を夢見て神宮外苑に競技場を建設していた嘉納治五郎(役所広司)は、その場所を仮設住宅建設用地として東京市に提供。避難してきた小梅(橋本愛)は、さっそく被災者相手に商売を始める。住まいも店もなくしたことを逆手に取り、不謹慎極まりない「丸焼け屋」という屋号で威勢よくすいとんを売る小梅。人間のたくましさ、生きようとするエネルギーが感じられる。小梅の姿は、日本を何度も復興させてきた数々の名もなき人々を象徴しているようで、自然と胸が熱くなる。

 前述の通り、ドラマタイトル『いだてん』にかけた意味も回収された。金栗四三(中村)は故郷の熊本に帰るが、義母の池辺幾江(大竹しのぶ)から激怒されてしまう。こういう時に東京に残り、困っている人を助けないでどうするのか、と金栗を責め立てる幾江。毎回小言を言いながらも結局金栗のやることを見守り、応援してくれる“ゴッドマザー”の面目躍如。金栗は、嘉納の提唱する「柔よく剛を制す」の精神は震災からの復興にも当てはまると気付く。自分は震災に対して無力だと思って落ち込んでいたが、そもそも人間は無力なのだから、何も考えずにこれまで通り走ればいいと、ある意味、悟りを開いた金栗。

 そんな金栗に、「どうせ走るならこれば持って行け」と、山のような救援物資を差し出す幾江。かっこ良すぎる。さらに、人々から「いだてん」と呼ばれる彼の背中を押すように、「ぬしは韋駄天がなんの神様か知らんとか? 人々んために走って食いもんば集めて運んだ神様たい」とハッパをかける。「いだてん」と人々に呼ばれ、10年以上走り続けてきた金栗が、本当の意味で「韋駄天」になる瞬間だ。『いだてん』のドラマタイトルは、金栗の足が速いことを表すだけではなく、彼が震災復興に尽力したことを表すものでもあったのだ。

 その後、金栗の発案による「復興運動会」が開催される。そのなかには、岡山から参加した人見絹枝(菅原小春)の姿もあった。人見は並外れた身体能力を持っていたが、その日本人離れした容姿にコンプレックスを抱き、スポーツに積極的に関わることを拒んでいた女学生である。だが、率先して女子スポーツの振興に取り組んでいた増野シマ(杉咲花)からもらった手紙に心を動かされ、今では走り幅跳びで日本記録を出すほどの選手に成長していた。

 人見はシマに会ってそのお礼を言いたいというが、シマは震災以降行方不明となっており、生死もわからないままである。ここで金栗は、人見がシマからもらった手紙を読ませてもらう。手紙には「私はあなたの走る姿を世界中に見せたい。あなたの走る姿を見て、あなたのようになりたいと願う女の子が一人でも現れたら、それこそが女子スポーツの未来を開くのです」と書かれていた。手紙を読み上げるシマの声にかぶせるように、金栗の教え子・村田富江(黒島結菜)と人見が競技場でデッドヒートを繰り広げる映像が流れる。その光景を見た金栗は目に涙を浮かべて「ようやくここまで来たばい!」と絶叫する――。行方不明のシマがもはや生きてはいないことを暗示させる、美しくも悲しい場面だ。

 もちろん、誰も一言もシマの生死を断じてはいないし、願わくば生きていてほしい、愛らしい存在ではあった。だが、シマの思いが次の世代にしっかりと受け継がれた以上、後になって「実は生きていました」とすれば蛇足になってしまう。脚本のクドカンとしては、シマの生死についてはこれで決着を付けたというところなのだろう。

 この第24話のサブタイトルは「種まく人」であった。嘉納のまいた種が金栗や三島弥彦(生田斗真)といった日本人初のオリンピック選手となって実り、三島家の使用人だったシマが、弥彦や金栗の影響で女子スポーツの先駆者となる。そして、シマのまいた種が、後に日本人女性オリンピック選手となる人見に受け継がれていく。この流れにおいて、シマだけが架空の人物であり、歴史上に名を残していないことにも意味がある。『いだてん』第一部は、誰かのまいた小さな種が実ることで歴史が大きく動いていく様子を描いた、壮大な大河ドラマであった。そして、そんな「種まく人」のなかには、歴史に名前が残らない市井の人々も確かにいたのである。

 これまで、ごく近くにいながらも決して交わることのなかった「金栗四三の物語」と「古今亭志ん生の若き日・美濃部孝蔵(森山未來)の物語」も、第1部のエンディングでついに重なった。走り出したら止まらない金栗が、復興運動会の一角で開かれた「復興寄席」の高座の前を横切ったのである。「失敬!」と手を掲げて笑う金栗に、「はあ?」と呆れ顔の孝蔵。マラソン走者の金栗はひたすら走り、落語家の孝蔵は落語をやる。震災復興のために、自分がこれまでしてきたことをそれまで通りにやるという一点で2人の人生が重なったのだ。この大河ドラマを「古今亭志ん生が金栗四三を題材とした創作落語『東京オリムピック噺』を演じる」という構成で続けてきたことの意味も、きれいに回収された。

 ネット上では「毎回、感動と笑いがぎゅうぎゅうに詰まっていて、最高なドラマだった」「半年間見続けた人への最高のご褒美。ドラマ史上に残るすばらしい最終回でした」「取っ散らかった印象のあった落語パートが、ストンとパズルのようにハマった」といった称賛の声が続々と上がった。

 ストックホルムオリンピックが終わってから女子スポーツ編が始まるまでの中盤(14~20話)あたりで、かなり中だるみした感は否めないが、第21話から第1部最終回までの怒涛の“神回”4連発は「やっぱりクドカンはすごい」と、視聴者に手の平返しさせるのに十分すぎるものだった。予告編映像を見る限り、第2部もますますおもしろくなりそうな雰囲気が漂っている。第1部の途中で視聴をやめてしまった人も、第2部から再開してみてはいかがだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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