NEW
中西貴之「化学に恋するアピシウス」

アマゾン、数千基の人工衛星打ち上げ…衛星インターネットを世界中に提供、宇宙ゴミ問題も

【この記事のキーワード】

, , ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 1万基を超える膨大な数の小型人工衛星を地球を取り巻くように打ち上げて、高速インターネット回線を海の上から山の中まで世界中に提供する、人工衛星ビジネス戦争が勃発しました。

 現在、先頭を走るのは、すでに第1弾の衛星群の打ち上げに成功した米国の宇宙開発企業スペースX社ですが、米国アマゾン・ドット・コムも数千基の人工衛星打ち上げを計画していますし、米国やカナダなどの多数の企業が衛星インターネットサービス参入に名乗りを上げています。

 世界中にブロードバンドネットワークを築くという構想は、これまで多くの企業によって提案され、時には多くの飛行船や気球を成層圏に浮かばせる、などの奇想天外なアイデアも登場しました。しかし、近年の急速な人工衛星の小型化技術の進展と、スペースX社のファルコン9ロケットのような大型で打ち上げコストの低い再使用型ロケットの実現によって、インターネット人工衛星がもっとも現実的な答えであると結論付いた感があります。

スペースXの「スターリンク」計画とは

 その先陣を切ったスペースX社のプロジェクトが、「スターリンク」計画です。スターリンクは1万2000基の人工衛星で構築される計画で、最初の60基が日本時間の2019年5月24日に打ち上げられました。最低でも800基から1000基の衛星を打ち上げた時点で、世界の多くの地域をインターネットで結ぶことが可能になると思われます。

スターリンク衛星(提供=Space X)

 搭載された衛星は蛇腹状に折りたたまれ、フックで連結された状態で宇宙空間に放出され、自律的に地球周回軌道に入ります。大量の衛星で地球を取り囲んだ上で衛星同士が通信を行うことによって、地球上のどこにいても衛星を通してインターネット接続が可能となり、同時に多数の衛星によるシステムの冗長性も実現されるため、これまでにない広範かつ強靭なブロードバンドネットワークができ上がります。

 日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)も08年から19年2月まで超高速インターネット衛星「きずな」を運用し、11年の東日本大震災時には、地上通信設備が壊滅的打撃を受けた被災地にインターネット回線を提供する活躍を見せました。

超高速インターネット衛星「きずな」(提供=JAXA)

 しかし、きずなは重さが3トン近い巨大衛星で、衛星開発だけでも数百億円が必要と推定されます。きずなの後継機を打ち上げて商用サービスを実施する計画がNECなどの出資により動き出しましたが、結局実現しませんでした。これは、衛星インターネットサービスにおける巨艦主義ともいえる大型衛星時代が終焉を迎えるものでした。

インターネット衛星を光害源にしないために

 さて、大型の衛星1基で通信を行う時代から大量の小型衛星で通信を行う時代になり、それらの衛星が打ち上げられると、人工衛星が光害になるという問題が早くも発生しました。

 何しろ、現時点で地球周辺の人工衛星の数は5000基程度。そこに、参入各社合計で数万基の人工衛星を打ち上げようというのですから、いきなり数倍に増やすことになります。また、地球周辺には大きさ10センチ以上の宇宙ゴミ(スペースデブリ)が2万個程度漂っていることが確認されていますが、増加する衛星の数はスペースデブリの数に匹敵します。いずれも、天文学者にとっては大変な問題です。

『宇宙と地球を視る人工衛星100 スプートニク1号からひまわり、ハッブル、WMAP、スターダスト、はやぶさ、みちびきまで』 地球の軌道上には、世界各国から打ち上げられた人工衛星が周回し、私たちの生活に必要なデータや、宇宙の謎の解明に務めています。本書は、いまや人類の未来に欠かせない存在となったこれら人工衛星について、歴史から各機種の役割、ミッション状況などを解説したものです。 amazon_associate_logo.jpg

アマゾン、数千基の人工衛星打ち上げ…衛星インターネットを世界中に提供、宇宙ゴミ問題ものページです。ビジネスジャーナルは、連載、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

関連記事

BJ おすすめ記事