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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

AKB“総選挙”に、なぜ国民は熱狂したのか…類まれな大成功イベントの本質

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

「それまで、特に1980年代まではアイドルが本来持っていた“サービス財”として必要な要素は、歌が歌えて、踊れて、そしてかわいい、というものでした。しかし、AKB48が日本の女性アイドル界で初めてファン投票でメンバーの人気を明確に序列化したことで、求められるものが変化しました。

“総選挙”の名の通り、彼女たちは投票日までに“選挙活動”をイベントやネット上などで行います。そこで彼女たちは、歌やダンスよりも『握手会でのサービス精神』『バラエティ力』『キャラクター』『SNSでの言動』『プライベートを垣間見せるライブ配信』といった付帯的な部分の強みをアピールすることに注力しました。そのあたりを含めた総合的な魅力を強みにして、彼女たちはファンの気持ちを捕まえてきたわけです。もちろんハロー!プロジェクトなど、いわゆる実力派アイドルは依然として健在ですが、メインストリームになったのがAKBグループでした。その結果、アイドルに求められる必須の要素が、日常生活から発信する情報やバラエティ対応力などに変化していったのです」(同)

 極めて資本主義的システムによって、トップアイドルもより資本主義的に決まるようになったということだろうか。いずれにしても、有馬氏は「NGT48の騒動など問題点も多くはらんだシステムではあるが、マーケティング的には大成功」と評価する。

 今年のAKB総選挙が休止されたことで、果たしてアイドルのトレンドは変わるのか。同グループの公式ライバルとされる乃木坂46などの坂道グループがこの流れをこのまま引き継ぐのか。めまぐるしく変化するアイドルシーンを見ていると、時代を越えた理想のアイドル像に正解はないことを思い知らされる。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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