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「赤字151億円」JTBのかなり深刻な内情…旅行代理店、もはや“売るものがない”状態か

文=松嶋千春/清談社
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 さらに、旅行業界は異業種からの参入も激しいという。「旅行業免許と通信手段さえあれば誰でもできますよ」とA氏は自嘲気味に言うが、競合が多いからこそ、成功するにはそれなりの商品力が必要になる。

「旅行業界は中小企業のほうが業績が伸びている印象はありますね。たとえば、『韓国で整形ツアー』『タイで性転換ツアー』など現地に人脈がないとつくれないような旅行商品は、一般の方やほかの旅行会社では相場や値頃感がわかりません。商品自体に価値があり、情報を占有できているからこそ、利益も取れる。ただ、大手だと、ここまで特化して攻めた企画は難しいでしょうね」(同)

それでも大手旅行代理店が強い分野とは

 店舗もネットもジリ貧状態だが、依然として大手旅行代理店が優位な分野は存在する。クルージングツアーなどの内訳がわかりにくいプランや南米などのアクセスしづらい土地については、ノウハウがあるので利益率の高い商品を企画することができるという。

「社員旅行や修学旅行などの“団体旅行”も依然として強いです。多くの宿泊予約サイトは数十名単位の検索に対応しておらず、対応していたとしても個人価格×人数になってしまう。その点、大手代理店は大量仕入れができるので、個人で予約するよりも安価に提供できます。また、G20大阪サミットや東京五輪などの大きなイベントにおいては、警備員やメディア関連などの宿泊を取りまとめる役割も担っています」(同)

 17年に倒産した、てるみくらぶ(ネット専門の旅行代理店)の不祥事によって、信頼感を求めて大手に来店する人もいるという。また、対面で顧客ごとにカスタマイズしたプランを提供するという意味では、ハネムーンなど特別な意味を持つ旅行においては「引き続き需要が見込めそう」とのことだ。

「店舗数が減少に向かっているなかで、ただ相談料を取って人員コストを削減するというだけではあまりに消極的。まず接客の質を上げ、旅行だけでなく生活に付随するサービスの展開も重要になるでしょう。たとえば、海外旅行用携帯のみならず国内用SIMフリー携帯も販売するなど、店舗の有効活用を考えていかないと生き残りは厳しいでしょうね」(同)

 5月の記者会見で、田端浩観光庁長官は旅行相談料の試験導入について「(ほかの)大手も続けば良い」と期待を示したが、追随する会社は出てくるのだろうか。この試みによって「客離れを招いただけ」という事態にならないといいが……。

(文=松嶋千春/清談社)

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