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駒崎さんが始めた移動式“コンテナ”ヘアサロンが、とんでもない「地方創生」を実現してしまったワケ

文=丸田一代/ライター
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 ハイキューブ20フィートのコンテナ(高さ約2.6m、奥行約5.8m、幅2.3m)を購入し、カット席を2つ準備した。初期費用は1350万円。通常の店舗展開と比べ、随分と割高だ。当初考えていたヘアサロンは地域密着型を想定していたが、移動式のコンテナにしたことで、駐車スペースや集客の問題も出てきた。新しいチャレンジはデメリットばかりが目についた。駒崎さんが始めた移動式コンテナヘアサロンが、とんでもない「地方創生」を実現してしまったワケの画像5

Uターンを希望するスタッフの独立支援

 その頃、東京都中小企業振興公社から「東京都新サービス創出スクール」4期生の募集DMが届いた。新サービス創出スクールとは「自社の強みを活用し、新規ビジネスモデル作成を行う」学校だ。何か突破口がないかと思っていた駒崎さんは、迷わず参加した。学んでいくうちに、ヘアサロンという枠からレンタルスペースという新たな概念が浮かんだ。

 一方で、店舗のヘアサロンでは、地元に帰りたいと考える地方出身のスタッフが数名いた。地方ではヘアメイクを学べる環境が少ないため、都会に出てくるケースが多い。やる気に満ちた若者を採用し、時間とお金をかけて教育しても、帰郷となれば離職するしかない。

「30代半ばでUターンしても、キャリアとしてはゼロになってしまうでしょう。そうかといって、知らない土地に店舗を出すのはかなりリスクが高いですし……」と駒崎さん。

 スタッフが離職した後の人生をも気にかける、社長の想い。これが発想の転換を生み出す。

 地方出身のスタッフにこのコンテナ美容室を任せ、地元に帰してみてはどうか? 地方であれば、駐車スペースの問題も解決しやすくなり、何よりスタッフが離職せずに済む。スタッフにとっては、地元に店舗を構えるテストマーケティングとして、売り上げはもちろん、ランニングコストから集客、広報活動などもすべて自分たちで行える。独立に向けたさまざまな挑戦が可能な、なんともありがたい環境だ。

 こうして、カプラス社は若いうちから育成した地方出身スタッフの新たな選択肢として、地元で顧客を開拓する環境を整え始めた。コンテナを活用した地方出身美容師の独立支援制度の誕生である。これは同時に、都市への一極集中で問題視される地方疲弊の解消にもつながる。

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「日本空間デザイン賞」を受賞

 これまでの経緯を聞いていると、新事業にどうメリットを持たせていくのか、ここが最大のポイントだと感じる。自社内にコンテナを活用した独立支援制度を誕生させ、美容業界自体の活性化を図る。そして今、同社には新たな「地方創生」が見え始めている。

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