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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

10~20代、電話や対面での会話は4割以下…LINE等でつながれば孤独感感じず

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

 さらに、普段の他者とのコミュニケーションにおいて、どのような場面で恥ずかしさを感じるかを、

「限られたメンバーのSNSのなかで」

「公開されたSNSのなかで」

「直接人に面して」

「初対面など、知らない人と」

「好きな人に」

「好意を持っている人から」

というカテゴリーに分け、38の場面を想定して5点尺度で回答してもらった。すると、30代以下の女性では20項目程度で高い値がみられた。

若年層はネット空間でも「パブリック」と「プライベート」を使い分ける

 使用するコミュニケーションツールと恥ずかしさの関連性はどうなのか。10代男女と20代男女を対象に二項ロジスティック回帰分析を実施してみると、20代男女でのFacebook使用との関連性が浮かび上がってきた。

「20代はFacebookをコミュニケーションツールとして利用する割合が2割以下ですが、使用する場合は羞恥心との関係性が深そうです。これはTwitterやインスタグラムに比べて基本的に実名で登録するため、発信に対する羞恥心の意識が高くなるからだと思われます」(同)

 また、羞恥心に関して、性別・世代別にかかわらず「大勢の人前で話をするとき」(全体の平均値3.51)と好きな人に「面前で好意を告白するとき」(全体の平均値3.52)というリアルでのシチュエーションに当たる2項目がほぼすべての世代で高得点だったわけだが、10代、20代を中心の若い世代は、SNSを通じてのネット空間の中で恥ずかしいと感じる場面が多いと調査結果が示している。

「このことについて特に気になるのが、『限られたメンバーのSNSのなかで』では平均値が低くなるのに、類似シチュエーションでも『公開されたSNSのなかで』では恥ずかしさを感じる場面が多い傾向にあることです。40代以上にはこのような傾向が見られないので、若い世代はネット空間に『パブリック』と『プライベート』を区別していることが、この調査から新たにわかりました。

 要するに、上の世代になるほどすべてのSNSで慎重に発信するのに対し、若い世代は小規模グループなどプライベートなSNS空間であれば発信内容に羞恥心は覚えづらく、その中であれば多少羽目を外して発信しても大丈夫、と認識しているのではないかと受け取れます」(同)

 最近、SNSで発信した言葉や動画が独り歩きして世間を騒がせることが頻繁に起こる。その発信源は若年層であることが多いが、それは単にSNSの利用率が高いだけでなく、限定的なネット上のコミュニティなら社会とは切り離されたプライベートな空間だと信じ切ってしまっている若者が多いということなのかもしれない。

 ネット空間でのプライバシーの意識は誰かに指摘されて気付くことが多い。家庭や教育機関での啓発が継続的に必要な時代なのだろう。

(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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