NEW
連載
中西貴之「化学に恋するアピシウス」

太陽系、明確な境界線に囲まれ宇宙空間内で隔絶…銀河系内を時速80万kmで突進

文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部
【この記事のキーワード】

, , , ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
太陽系、明確な境界線に囲まれ宇宙空間内で隔絶…銀河系内を時速80万kmで突進の画像1
ボイジャー2号(提供=NASA)

 米航空宇宙局(NASA)は1977年に打ち上げた探査機ボイジャー1号、2号を40年以上にわたって運用しています。これらの探査機は太陽系の惑星群の観測を終え、今は太陽系を飛び出して星間空間(恒星間の宇宙空間)を旅しつつあります。

 ボイジャー1号はすでに2012年に太陽系を出て星間空間に達しており、ボイジャー2号は18年11月に太陽圏を脱して、星間空間に到達しました。現時点で太陽系から外に出た探査機は、この2機のみです。両機の観測装置の多くは現在も稼働しており、今年11月にNASAや米カリフォルニア工科大学は、ボイジャー2号が太陽圏と星間空間の境界付近の電気を帯びた微粒子「プラズマ」を観測した、と学術雑誌に発表しました。

 ボイジャー1号、2号はそれぞれまったく異なる場所で星間空間に到達しましたが、2機のデータを比較すると、星間空間に存在する粒子の密度など、共通する部分も多いものの、興味深い違いもあります。

 太陽系は時速約80万kmで銀河系の星間物質中を突進しています。また、太陽からはプラズマの太陽風が放出されており、太陽系の端で星間物質と衝突しています。その結果、両者がぶつかる部分に境界面ができ、全体として太陽系は宇宙の中の泡のような状態になります。

 この内側を太陽圏「ヘリオスフィア」と呼び、その境界面は「ヘリオポーズ」と呼ばれ、星間空間から高い圧力を受けています。ボイジャーのデータによると、太陽からヘリオポーズまでの距離は、太陽の進行方向の最先端部で約150億kmです。ちなみに、地球の軌道から冥王星の軌道までの距離は約50億kmなので、その3倍に相当します。

 ボイジャー2号ではプラズマの温度を測定する機器が機能しており、境界面の外側にある星間物質の温度は非常に高いことがわかりました。さらにボイジャー2号が発見したことは、ヘリオポーズの内側と外側で粒子の行き来があり、星間粒子がヘリオポーズを突き抜けて太陽圏内へ入ってくること、逆に、太陽から放出された低エネルギーの粒子がヘリオポーズの外へ流れ出て、その先数百万kmにわたって伸びていることです。

 ボイジャー1号は太陽系の進行方向の正面から星間空間に飛び出しましたが、ボイジャー2号は横から飛び出しています。太陽系の後方から飛び出した探査機はないので太陽系の全体像はまだよくわかりませんが、太陽系は彗星のようなプラズマの尾を引いているように見える可能性があります。

ボイジャーのデータで逆に深まる太陽系の謎

太陽系、明確な境界線に囲まれ宇宙空間内で隔絶…銀河系内を時速80万kmで突進の画像2
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した若い天体。ほかの星から観測すると、太陽系もこのように見えている可能性がある(提供=NASA)

 さらに、ボイジャー2号の観測からは、太陽系と星間空間の間には明確な壁のようなものがあることがわかりました。ボイジャーがそこに達するまで、ほとんどの天文学者は太陽系と星間空間の境界はなめらかに変化していくと考えていました。しかし、ボイジャー2号のデータを解析した米国アイオワ大学の研究者らは、明確な境界線があることを発見したと発表しました。

『ココが知りたかった!改正化審法対応の基礎』 化学物質や製品を扱う企業が避けて通れない道、それが「化審法の手続き」。担当になった者は先輩方からいろいろ教わるものの、なかなか難解でなんだかよくわからない……。かといって、わからないでは済まされないし……どうすればいいんだろう!? 本書は、化審法実務のエキスパートが、長年の経験から、実務上で躓きやすいポイントを徹底抽出。わかりにくい部分を、かみ砕いて解説しました。2019年改正にも対応済みなので、すぐに実務で活用していただけます。「化審法に関わるようになってしまった」「化審法に関わることになってしまいそう」そんな方々に必携の1冊です。 amazon_associate_logo.jpg

関連記事