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ムービン・ストラテジック・キャリア「誤解だらけのコンサルティング業界」

コンサルティング業界、意外に広い採用門戸…採用熱高騰、他業種からも転職しやすい業界

文=清水喬之/ムービン・ストラテジック・キャリア エグゼクティブ・コンサルタント
コンサルティング業界、意外に広い採用門戸…採用熱高騰、他業種からも転職しやすい業界の画像1
「Getty Images」より

 前回の記事ではコンサルティング業界の概況と大まかな分類について記載させていただきましたが、今回はより具体的に前述の各領域におけるコンサルティングファームの採用動向について説明します。昨年2018年は転職市場の平均有効求人倍率が概ね1.8倍程度で推移したのに対し、コンサルティング業界は6~7倍程度の高い水準で推移しました(リクルートキャリア発表)。今年も来年のオリンピック開催を控え、若干の落ち着きは見せているものの、引き続き非常に高い水準で採用を継続している状況です。以下、領域ごとのおおまかな採用動向です。

戦略コンサルティングファーム

マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ベイン&カンパニーなど

 ここ数年の高い採用意欲を引継ぎ、2019年もほぼ全社でここまで積極採用が続いています。各業界でAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボティクス、アナリティクス、デジタルなどの最新技術をビジネスに取り込む必要性から、製造業、通信ハイテク、ヘルスケア、素材系、金融、商社、官公庁と幅広い領域で案件が増加しており、戦略ファームにおける人材ニーズも逼迫。少数精鋭ながら、第二新卒から優秀な20代若手層、業界の知見のある30代まで積極的に採用対象となっています。

総合系コンサルティングファーム

※アクセンチュア、PwCコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティング、KPMGコンサルティング、EYアドバイザリー&コンサルティングなど

 総合系コンサルティングファームは戦略コンサルティングファームと比較しても、その会社規模の大きさから各サービスライン、ユニットにて大量採用となっています。対象は各総合ファームが有するインダストリー(製造、金融、流通、小売、通信、ハイテク、ヘルスケア、エネルギー等)、およびソリューション(戦略、経営管理、SCM、CRM、組織人事、財務会計、M&A、テクノロジー等)に関わる業務経験がある人材であれば幅広く採用対象となっています。昨今、よりいっそう高度・複雑化しているビジネスマーケットにおいて、戦略から各種実行支援まで幅広いアジェンダに対応可能な総合系コンサルティングファームに寄せられる期待は極めて高い状況が続いていると言えます。

シンクタンク

野村総合研究所三菱UFJリサーチ&コンサルティング、日本総合研究所、NTTデータ経営研究所など

 シンクタンクは「〇〇総合研究所」という社名の通り、大手金融機関グループに所属するため、そのグループチャネルを使って継続的に案件を獲得することが可能となっており、コンサルティング業界のなかでも特に安定して人材ニーズのある領域と言えます。足元も戦略ファームや総合ファームほどの過熱感はないものの、シンクタンク各社が提供するサービスライン、ユニットにて常時採用を継続しています。

 ただし、若手ポテンシャル層については系列グループの金融機関からの出向も可能なために戦略ファームや総合ファームほど積極的ではなく、20代後半から30代のシンクタンクが提供するコンサルティングサービスに類するなんらかの知見を持ち込める人材の採用が優先となっています。

独立系コンサルティングファーム

※日本経営、IQVIA、フューチャー、O2など

 独立系コンサルティングは、所帯も数百名の大規模なものものあれば、数名~数十名の所帯のファームもあり、また、そのコンサルティングサービスも業界特化や機能特化と多種多様です。採用についても若手をポテンシャル採用し育成する方針のファームもあれば、コンサルティングファーム出身者を中心とした即戦力登用方針のファームもあるために、一概には言えません。

 しかしながら、共通して言えることとしては、特化している業界ないしは機能に関連した業務経験を重視しており、コンサルティングファームではなく事業会社やSIerでの経験であっても、当該領域の経験を必須としている採用、もしくはポテンシャル採用においても経験の有無が大きな要素の1つになる傾向があります。ヘルスケア業界のご経験をお持ちの方、製造業におけるモノづくり現場の経験をお持ちの方、SCM領域に精通した方などは、それぞれの領域に特化したコンサルティングファームから強く評価されるでしょう。

 また戦略系や総合系をはじめとした大手コンサルティングファームと採用が競合することから、独立系も全般的に常に採用意欲が高い状況となっています。また、独立系については、転職市場でも十分に情報が出回っていないケースも多いため、業界に詳しい人材エージェントから適切に情報を収集することが重要でもあります。

・財務アドバイザリー(フィナンシャルアドバイザリーサービス)系コンサルティングファーム※デロイトトーマツフィナンシャルアドバイザリー、PwCアドバイザリー、KPMG FAS、EYトランザクション・アドバイザリー・サービスなど

 財務アドバイザリー(フィナンシャルアドバイザリーサービス)系コンサルティングファームについては、長期にわたる景況感の改善からキャッシュリッチになった大企業のM&A案件の増加に伴い、公認会計士や、金融機関や事業会社におけるM&A経験者、その他高い財務会計の知見を持つ人材を幅広く登用している状況です。また、企業の危機対応時におけるアドバイザリーを行うフォレンジックサービス領域や、公共領域においてPPP・PFIアドバイザリーを行うパブリックセクターにおいても積極的に採用が行われています。

 ただし、財務アドバイザリーについてはその名の通り、基本的には財務会計におけるサービスが中心となりますので、公認会計士資格やUSCPA、簿記1級等の有資格者や、業務経験において高い財務会計の知見を有する方が優先的に採用されている傾向があります。

中小企業向けコンサルティングファーム

※船井総合研究所、タナベ経営、NBCコンサルタンツなど

 売上数億円から数十億円規模の企業を支援しているコンサルティングファームになります。この領域は若手コンサルタント自身が営業をし、案件を受注してコンサルティングサービスを提供しているケースも多く、営業に重きを置いてビジネスを展開している背景からも、常に人材ニーズが高い領域です。

 このクラスの売上規模の企業ではオーナー企業が比較的多く見受けられるため、銀行や証券会社、一般事業法人等で中小企業の社長向けに営業経験があり、企業経営者と柔軟にコミュニケーションをとることができる人材が好まれる傾向があります。他の領域のコンサルティングファームと比較しても営業経験からコンサルタントへチャレンジがしやすい領域となっていますので、営業からコンサルタントとしてキャリアを築きたい方は、まずこの領域からコンサル業界へジョインした上で、キャリアアップを図る方も多く見受けられます。

 以上、おおまかな採用動向を紹介しましたが、各ファーム、分野ごとによって採用熱にはもちろん温度差があり、またその変化のスピードは非常に早いです。ただ、1ついえることとしては、世間で認知されている以上に幅広い方に転職のチャンスがありますので、コンサルティング業界にご関心をお持ちの方は、一度プロのキャリアコンサルタントに話を聞いてみるとよいかと思います。

(文=清水喬之/ムービン・ストラテジック・キャリア エグゼクティブ・コンサルタント)

清水喬之/ムービン・ストラテジック・キャリア エグゼクティブ・コンサルタント

清水喬之/ムービン・ストラテジック・キャリア エグゼクティブ・コンサルタント

株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア エグゼクティブ・コンサルタント


明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科修了。同社では主に金融及び財務会計領域の人材のコンサル、M&A領域への支援と官公庁や自治体出身者のコンサルティングファームへの転職を支援。



株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア


20年以上にわたり日本初のコンサル転職支援特化エージェントとして、コンサルティング業界への転職活動を支援。長年実績を重ねてきた結果、複数の媒体から日本No.1のエージェント表彰を受けるなど、コンサルティング業界に関する専門家集団としてのユニークなポジショニングを確立しております。

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