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牛角、“炎上”のリスク承知でサブスク導入か…焼肉ライクの急成長で存在感低下の危機

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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牛角の店舗(「Wikipedia」より)

 最近、焼き肉チェーンに対する関心が高まっている。新興勢力の1人焼き肉店「焼肉ライク」の出店拡大によって、業界がにわかに活気づいたためだ。同じく新興勢力の「焼肉きんぐ」も出店攻勢を仕掛け、存在感を高めている。一方、古くからある焼き肉チェーンも黙ってない。「牛角」は月額定額制の食べ放題・飲み放題のサブスクリプション(定額課金)サービスの導入を試みて存在感を示している。他方、「安楽亭」は運営会社が業績不振で苦しんでいる。新旧入り乱れ、業界は混沌としている。

 焼肉ライクは急成長を遂げている。運営会社はダイニングイノベーションで、2018年8月に1号店を開いた。同社は牛角創業者の西山知義氏が13年に設立した。焼肉ライクは業界に革命を起こした。焼肉店は1人では行きづらいイメージが強かったが、1人台の無煙ロースターを備えて1人でも気軽に食べられるようにしたことが功を奏し、人気を博すようになった。

 現在、国内では関東を中心に約30店を展開している。この3月は怒涛の開店ラッシュで、ホームページでは6店舗のオープンが確認できる。焼肉ライクは当初、東京の繁華街を中心に出店を重ねてきたが、徐々に出店地域を拡大させ、東京以外や郊外ロードサイドにも触手を伸ばしている。

 フランチャイズ展開にも力を入れている。ラーメンチェーン「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD)と18年12月にフランチャイズ(FC)契約を締結。幸楽苑HDは郊外ロードサイドで焼肉ライクのFC展開を進めている。

 ダイニングイノベーションは23年までに焼肉ライクを直営とFC合わせて300店にする方針を掲げている。年70店程度を出店する計算になり野心的な数値だが、今の勢いを考えると達成できないこともないだろう。いずれにせよ、出店攻勢を仕掛けていく考えだ。

 焼肉きんぐも店舗数が伸びている。運営会社は物語コーポレーションで、07年に焼肉きんぐの1 号店を開いた。現在は約220店を展開している。郊外ロードサイドを主戦場とし、家族連れで楽しめるバイキング形式の焼肉チェーンとして人気を博している。店舗数は安楽亭を抜いて牛角に次ぐ業界2位だ。

 焼肉きんぐは食べ放題メニューが売りだ。2680円(税別)で「カルビ」や「ハラミ」など58品目から選べる「58品コース」、2980円(同)で「ドラゴンハラミ一本焼」など特別メニューも楽しめる「きんぐコース」、3980円(同)で「特選カルビ」など高級メニューも食べられる「プレミアムコース」の3種類がある。これら食べ放題は食べ応え十分で、たくさん食べたいというニーズに対応できている。

 焼肉きんぐを主体とした焼き肉部門の既存店売上高は絶好調だ。19年7月~20年2月は前年同期比7.0%増と大きく伸びた。19年6月期は前期比2.2%増で、2年連続のプラスとなっている。好調な焼肉きんぐが牽引し、物語コーポレーションの足元の業績は好調で、19年7~12月期連結売上高は前年同期比10.3%増の315億円と大幅増収を達成した。

 このように焼肉きんぐの業績は好調だ。ただ、今後は予断を許さない。焼肉ライクが郊外ロードサイドでの出店を強化し始めたためだ。安穏とはしていられないだろう。

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